2023.03.13AI-OCR
バックオフィスのDXとは? 導入方法や成功事例を解説
近年、デジタル技術の進歩・発展に伴って市場のグローバル化が加速しており、国内では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が求められています。なかでも重要視されているのが「バックオフィスのDX」です。本記事では、バックオフィスにおけるDXの必要性や導入時の注意点、企業の推進事例などについて解説します。
「バックオフィス」とは、総務や人事、財務、会計など、基本的に顧客との関わりがなく、組織の後方支援を主体とする業務領域を指します。反対にマーケティングや営業、製品開発など、顧客との関係性を通じて直接的な利益を生み出す業務領域は「フロントオフィス」と呼ばれます。そして、いま多くの企業が重要課題として掲げているのがバックオフィスのDXです。
DXとは「デジタル技術の活用によってもたらされる抜本的な変革」を指す概念であり、事業領域ではAIやIoTといった技術革新の戦略的活用による経営改革を意味します。これまでバックオフィスの業務は稟議・決裁に関わる押印や紙の書類管理などが欠かせず、デジタル化の推進が困難な領域とされていました。
しかし、近年では稟議・決裁の自動化やペーパーレス化に特化したITシステムが普及しつつあり、こうしたデジタル技術の活用によってバックオフィス業務の変革を推進する企業が増加傾向にあります。
バックオフィスのDXを推進することで得られる主なメリットは「労働生産性の向上」と「コストの削減」、そして「先進的な労働環境の構築」です。
たとえば、請求書の作成や入金データの照合など、定型業務を自動化することで既存業務の効率化や人為的ミスの削減につながり、労働生産性の大幅な向上が期待できます。それに伴ってバックオフィス業務の人員を削減できれば、人件費や福利厚生費といったコストを削減できる点も大きなメリットです。
また、DXの推進によってバックオフィス業務をデジタル化することで、新しい時代に即したリモート型の労働環境を構築できます。それにより、多様な人材を確保できる可能性が高まると同時に、ペーパーレス化によって文房具代や用紙代といったオフィスコストの削減が可能です。
このように、バックオフィス業務の変革を実現できれば、業績向上に直結するコア業務に人的資源や資金を集中できるため、競合他社にはない顧客体験価値の創出と経営基盤の総合的な強化につながります。
バックオフィス業務のDXを推進する際は、いくつかの押さえるべきポイントが存在します。なかでも重要度の高い要素として挙げられるのが以下の4点です。
・周囲の理解を得て体制を整える
・現状を把握する
・DX化の業務の優先順位を考える
・ツール・システムを選ぶ
DXの実現における重要課題のひとつは、変革に対するビジョンの共有です。DXは個人の力で成し得るものではなく、組織全体が変革への意思や理念を共有しながら全社横断的な協力体制の構築が求められます。
しかし、人間は本能的に現状の変化や未知の体験を避ける傾向にあるため、変革へのビジョンを共有するのは容易ではありません。
したがって、経営層がトップダウンでDXを推進するのではなく、現場の声に耳を傾けながら従業員の意思を尊重しつつ変革を進める必要があります。その上でDXの推進を主体とする専門の部署を立ち上げ、組織全体が変革に向かって進む企業文化を醸成することが大切です。
バックオフィス業務のDXを推進する際は、自社の経営状況や生産体制を俯瞰的な視点から分析する必要があります。DXの本質的な目的は単なる「IT化」や「デジタル活用」ではなく、デジタル技術の戦略的活用によってビジネスモデルや経営体制そのものに変革をもたらし、市場における競争優位性を確立することです。
そのためには、現在の財務状況や既存の業務プロセスなどを洗い出し、俯瞰的かつ客観的に評価・分析しなくてはなりません。
このプロセスを経ることでボトルネックとなっている課題やデジタル化が求められる業務領域が可視化され、DXの推進における具体的な戦略の方向性が明確化されます。
DXを推進する方向性が明確化されたなら、次はその戦略を具体的な施策に落とし込むプロセスが求められます。
たとえば航海では、到達すべき目的地を定めたなら、次はそのゴールへ至るために必要な乗組員や装備品、適切な航路、出入港日時などを選定し、具体的な航海計画に落とし込むプロセスが必要です。DXの推進もこれと同様であり、変革の実現に必要な施策を明確化し、具体的なプランや物事の優先順位を明確化しなくてはなりません。
大規模な経営改革には相応のリスクが内在するため、まずは特定の部門における一部のバックオフィス業務をデジタル化するといったスモールスタートが推奨されます。
バックオフィス業務のDXを実現するためには、優れたデジタルソリューションの戦略的活用が欠かせません。いかにして定型的な業務を省人化・自動化するかが重要課題となるため、全体の流れや作業手順がパターン化されている業務のオートメーション化を支援するシステムが求められます。
そして、システムの導入費用と管理コストを最小限に抑えるためにも、クラウドファーストの意識が重要です。クラウドコンピューティングは、物理的なハードウェアの導入やITインフラの保守・運用が不要であり、社外からのセキュアなアクセスも可能なため、コストを抑えつつ先進的なテレワーク環境を構築する一助となります。
DXを実現するためには他社の成功事例から学びを得て、その本質を自社のビジネスモデルに応用することが大切です。ここでは、バックオフィス業務のDXに成功した企業事例を紹介します。
国内の大手情報サービス企業のN社では、紙媒体の資料が山積みとなる状況が常態化しており、それを解消すべくペーパーレス化や電子署名の活用を推進しました。自社独自に情報管理システムを開発し、モバイル端末によってどこでも仕事のできる環境を構築した結果、紙資料の配布などに取られていた時間を削減できたといいます。
こうした取り組みは、用紙代や切手代などのコスト削減に寄与するだけでなく、テレワーク環境における稟議・決裁に関わる出社の削減にもつながっています。近年ではAI技術を活用した「OCR(光学文字認識技術)」の発達が目覚ましく、AI-OCRの活用によってさらにペーパーレス化が進展していくと予測されます。
AI-OCRに関する詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
国内の大手ネットバンクを展開するS社は、ネット銀行の需要増加に伴って口座開設や審査業務の業務負荷増大が課題となっていました。
そこで同社はRPAの本格的な導入によって住宅ローンの審査手続き業務を自動化し、業務効率化に伴う労働生産性の向上に成功します。RPAとは「RoboticProcessAutomation」の略称で、ある一定の形式に則って実行されるPC業務を自動化するシステムです。
定型業務の省人化・自動化を推進する上で欠かせないソリューションであり、AI-OCRとRPAの提携によってより多くの作業を自動化できます。
2020年3月、新型コロナウイルスがWHOによってパンデミック認定され、多くの企業が感染症対策の一環としてテレワーク制度の導入に取り組みます。大手電機器メーカーのN社はクラウドコンピューティングの活用によってテレワーク環境を整備し、多様なワークスタイルに対応できる労働環境の整備に成功しました。
クラウド型のシステム環境はインターネット環境さえあれば時間や場所にとらわれることなく情報の共有が可能であり、テレワーク環境に最適化されたデジタルワークプレイスを構築できます。
バックオフィスのDXとは、間接部門の業務プロセスを変革する取り組みの総称です。
これまでバックオフィス業務はデジタル化が困難とされていたものの、ICTの発展に伴って定型業務の自動化を推進する企業が増加傾向にあります。バックオフィスのDXを実現するためには、RPAやAI-OCRなどの活用が必須といえるでしょう。
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