コラム

2023.09.25インボイス制度

インボイス制度はひどい?!個人事業主の対応策やメリット・デメリット

インボイス制度は、個人事業主などの間で批判的な声が上がっています。本記事では、インボイス制度のデメリットや、一部事業者が廃業に追い込まれる可能性など、「インボイス制度はひどい」とされる理由を解説します。また、インボイスへ対応するメリットやポイントも紹介しますので、対応に悩む事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

 
 

 

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インボイス制度とは?

「インボイス制度」とは、2023年10月に実施される「適格請求書等保存方式」を表します。消費税の仕入税額控除において、仕入れ時に作成する、発注書や納品書などの書類の様式が変わります。

 

制度を採用した場合は、標準税率の10%や軽減税率の8%など、それぞれの税率が明記されたインボイスを使用しなければなりません。適格請求書(以下、請求書)は、従来よりも必須項目が増えており、さらには税務署長に登録が認められた「適格請求書発行事業者」のみ作成できます。

 

売り手が請求書を作成することで、仕入れを行った買い手に適用税率とそれぞれの購入額、消費税額などが明確に伝えられるようになります。

 

また、登録が認められていない、対象外の事業者から受理した請求書では、仕入税額控除が受けられなくなります。もっとも、従来の様式でも経過措置は行われるため、控除を受けられる割合は段階的に引き下げられていく形です。2026年9月までは80%、2029年9月までは50%と、当面は一定の割合で控除を受けられます。

 

 

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インボイス制度はなぜ必要?

インボイス制度が求められている理由として、何が考えられるでしょうか。この制度は、仕入れ時の消費税を正確に把握するために欠かせません。

 

また、消費税の控除額を算出できることから、不正やミスを防ぎ、納税額の算出を容易にする特徴もあります。請求書には、従来定められていた様式に加えて、「登録番号」「適用税率」「消費税額等」をプラスすることが必須です。

 

軽減税率が施行され、消費税率が2種類に定められてからは、消費税の算出が複雑化し、経理業務における手間がかかることが課題でした。請求書には、最初から税率の区分別に、消費税が分かりやすく表記されるため、正しい税額を容易に把握できるようになったのです。

 

仕入税額控除は、税率ごとに分けて算出しなければなりません。したがって、消費税率と税額が示されている請求書を使用することにより、仕入税額控除の算出や確認が効率化され、算出ミスや不正を防げるでしょう。

 
 

 

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インボイス制度が「ひどい」「やばい」と言われている理由

2023年10月に導入されるインボイス制度。仕入税額控除の仕組みが変わることを受け、SNS上では「ひどい」「やばい」といった否定的な声も目立ちます。この章では、インボイス制度とはどのような制度なのか、この制度が一部の人々から批判の的になっている理由について紹介します。

 

 

事業者によっては仕事・報酬が減る可能性がある

インボイス制度が導入されると、事業者によっては仕事の受注や報酬が減る可能性があります。

 

インボイス制度が適用されるのは、課税売上高1,000万円以上の事業者です。個人事業主や中小企業など、課税売上高1,000万円未満の免税事業者はインボイス制度が適用されないため、インボイス(適格請求書)を発行することができません。

 

免税事業者は、これまでと同様の区分記載請求書を利用できますが、取引先の課税事業者が従来の請求書では仕入税額控除を行えなくなります。そのため、今後は取引相手を免税事業者ではなく、インボイスの発行が可能な課税事業者に絞られてしまう可能性が出てきます。

 

そうしたリスクを回避するためには、これまで免税事業者だった個人事業主なども自ら申請して課税事業者になり、消費税を納める必要があります。しかし、そうなれば仕事が減少する事態は回避できたとしても、今まで納める必要のなかった消費税が発生する分、結果的に報酬は減ってしまうでしょう。これが、インボイス制度が批判されている主な理由です。

 

 

消費税の申告・納税の業務負担が増える

個人事業主など、これまで免税事業者だった人が課税事業者となった場合、発生したすべての取引について消費税の区分を設定し、取引先から受け取った消費税と自ら納めた消費税を差し引いた金額を計算しなければなりません。こうした新たな作業が必要になるため、今までよりも消費税の申告・納税の業務負担が増えることになります。

 

ただ、この点に関しては、インボイス制度に対応した会計システムなどを利用すれば、消費税区分もある程度は自動的に計算されるため、仕分けの手間を軽減できます。

 

 

請求書の様式を変更する必要がある

上述の通り、インボイス制度の導入後は、従来の区分記載請求書ではなく、適格請求書でなければ仕入税額控除が受けられません。そのため、事業者は請求書の様式を適格請求書の様式に変更する必要があります。自社システムを用いているのであれば、それも変更しなければなりません。

 

具体的には、適格請求書の発行事業者の登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した合計額および適用税率、税率ごとに区分した消費税額などの項目が必要です。

 

ただし、現行の区分記載請求書にこれらの項目を追加すればよく、新たなフォーマットを一から作成しなければならないわけではありません。

 

 

個人事業主の本名が公開されてしまう

適格請求書発行事業者の公表サイトでは、インボイスの「登録番号」を入力すると、その事業者の名前などが表示されるようになっています。そのため、屋号やペンネームを用いて事業を行っている個人事業主は、本名が知られてしまう可能性もあります。

 

この場合、たとえば本当なら作家活動を続けたくとも、いわゆる「身バレ」を嫌がって活動終了を決意する個人事業主も出てくるかもしれません。

 

 

 

 

インボイス制度の抜け道はある?

免税事業者だった個人事業主にとってはデメリットも多いインボイス制度ですが、何とかこれまでと同じやり方でも不利益を被らずに済む抜け道はないのでしょうか。

 

 

インボイス制度に抜け道はない

結論からいえば、インボイス制度には残念ながら抜け道のようなものはありません。仕入税額控除を受けるために課税事業者となったからには、納税義務のある消費税を納めなければ、民事上の責任を負うことになる可能性が高まります。

 

また、適格請求書発行事業者の登録を受けていない事業者が適格請求書を発行する、虚偽の適格請求書を発行するなどの行為は、刑事罰の対象となるため注意が必要です。

 

以下では、インボイス制度によって生じるマイナスの影響を最小限に抑えるために、発注者と受注者のそれぞれが講じたい対策を紹介します。

 

 

値下げを要求する

課税事業者にとって、免税事業者と取引をすると消費税負担が増えるため、その分の値下げを要求することもひとつの方法です。

 

消費税負担の増加を理由に値下げを要求することは、消費税転嫁を拒否することとなり、独占禁止法に抵触するのではないか、と考える人もいるかもしれません。

 

確かに、強い決定権などを有する事業者が、その優位的な地位を利用し、増税に際して個人事業主に不当な値下げ要求を飲ませた場合、公正取引委員会によるペナルティを受ける可能性はあります。しかし、インボイス制度の導入は増税とは無関係であるため、合理的な理由に基づく値下げ要求であれば違反とはなりません。

 

 

委託契約から雇用契約に切り替える

消費税は、あくまでも業務を外注した際に発生する税金です。そのため、個人事業主であれば、業務委託契約などではなく直接雇用契約を結べば、インボイス制度の影響を受けることはありません。

 

しかしながら、個人事業主などに仕事を発注している事業者にとっては、仕入税額控除が使えない分、負担しなければならない消費税が増えるのがデメリットです。さらに、自社の従業員として源泉徴収を行う必要があるなど、新たに業務が増えることになるため、直接雇用への切り替えを提案しても受け入れてもらえない可能性があるでしょう。

 

一方の受注側も、個人事業主から雇用への切り替えを検討する際は、場所や時間に縛られない自由な働き方が難しくなる点を踏まえておく必要があります。

 

 

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インボイス制度の影響を受ける業種・受けにくい業種

インボイス制度が実施されても、すべての業種が等しく影響を受けるわけではありません。この章では、インボイス制度による影響が大きい業種と、あまり影響を受けずに済む業種について解説します。

 

 

インボイスの影響を受ける業種

インボイス制度の影響が大きいとされているのは、飲食業や雑貨店、個人事業主などです。飲食業では、仕入れにおける税率が軽減税率8%のものと、標準税率の10%のものとに分かれるため、税務処理が複雑化しやすいのが特徴です。

 

また、骨董品店や雑貨店、絵画店などは、免税事業者である個人から作品を仕入れる場合が多いため、消費税の納税負担が大きくなりがちです。

 

そのほかデザイナーやプログラマーなど、企業から業務を受注することが多く、課税売上高が1,000万円未満で消費税の納税義務を免除されている個人事業主も、大きな影響を受けることは避けられないでしょう。

 

 

インボイスの影響を受けにくい業種

反対に、インボイス制度の影響を受けにくいのは、個人による私的利用が中心の業種です。主な例としては、美容院、理髪店、サロン、マッサージ、スポーツジム、学習塾、音楽教室、英会話教室、居住住宅の賃貸オーナー、医療機関などが挙げられます。

 

これらの業種は、サービスを受けるのに要した費用を経費計上するために、領収書の発行を求められることがほぼなく、適格請求書発行事業者となる必要がありません。

 

そのため、同じ個人事業主であっても、企業を相手にすることの多いデザイナーやプログラマーなどと比べて、インボイス制度導入後も損をする可能性は低くなります。

 

 

インボイス未登録の事業者との取引はどうする?

インボイス制度には、取引への影響に配慮して経過措置が設けられています。それにより、免税事業者からの仕入れについても制度実施後の3年間は消費税相当額の8割、その後3年間は5割、仕入税額控除を受けることが可能です。

 

なお、自社が簡易課税制度を選択している場合、制度導入後も適格請求書を保存せずに仕入税額控除を受けることができるため、取引先が適格請求書発行事業でない場合でも影響を受けません。

 

ただし、取引相手の対応次第では、条件の変更や仕入れ先自体の変更を検討する必要が出てくる場合もあるため、その点は頭に入れておきましょう。

 
 

 

 

 

インボイス制度のメリット

インボイス制度では、「電子インボイス」を取り入れるのに役立つほか、デジタル化によって業務の効率化が叶い、事業者として有利な取引が可能になる、といったメリットが得られます。

 

 

電子インボイスを導入しやすくなり、業務効率化を図れる

電子インボイスとは、請求書を電子データに切り替えることです。2020年には、電子インボイスの普及を目的に設立した「EIPA(電子インボイス推進協議会)」が、使用する書類の様式などを策定しています。

 

インボイス制度の実施後は、仕入税額控除の算出が複雑化することから、算出処理の負担が厳しくなることが懸念されます。その点、電子インボイスを利用すれば、国内で様式が統一されているので、システムの異なる企業から受理した請求書についても、内容や情報を自動で取り込めます。当然、仕入税額控除においてもシステム上で自動的に算出されるため、手間がかかりません。

 

また、請求書を電子化した場合、印刷や郵送料などの費用がかからず、発送に関する業務も大幅に削減できます。請求書は法律のもと、7年間の保管が義務付けられています。電子化を採用しない限り、すべてファイリングしたうえでの保管が必須です。保管スペースの賃貸費用がかかっている場合は、電子化により保管スペースを削減して、コストダウンにつなげられるでしょう。

 

 

制度導入後の取引に有利となる

制度の実施後において、従来使用されてきた様式は仕入税額控除の対象外となるため、買い手側が納付する消費税額から控除されず、納付額が増加します。

 

ただし、すでに新しい様式を作成している場合は、制度が実施されてからも仕入税額控除を受けられるので、買い手側は納税の負担を減らせます。

 

事業者は消費税の納税額に影響を受けないため、制度の実施後は取引先から商品を購入されやすい傾向にあり、それに伴って取引が継続する可能性が高くなります。また、仕入税額控除を受けられる事業者として、ほかの新しい取引先を見つけることが増えるでしょう。

 
 

 

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インボイス制度のデメリット

一方、手続きの手間が増える、控除額が減少するなどのデメリットも生じます。正確な処理を行うために、業務上の手間やコストが増加する点には要注意です。

 

 

手続きの手間が増える

事業者への登録が完了したら、商品を販売する際に使用していた従来の書類ではなく、新しい請求書の作成が必須です。それに伴い、請求書の交付や写しの保存、振り分け、管理などの業務が新たに発生します。また、請求書を作成できるシステムへの移行も同時に行うため、負担の増大が懸念されます。

 

実際に登録が認められるのは、基準期間における課税売上高が1,000万円以上の課税事業者のみです。それに対し、基準期間の課税売上高が1,000万円未満の事業者は、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」に該当するので、請求書を作成できません。

 

基準期間の課税売上高とは、個人事業主では前々年の課税売上高、法人では前々事業年度の課税売上高を表します。

 

免税事業者が「消費税課税事業者」を希望する場合、課税期間が始まる前に「消費税課税事業者選択届出書」を記入して税務署長に提出し、登録を認めてもらう必要があります。ただし、提出後2年間は免税事業者に戻れない点に注意しましょう。

 

 

仕入税控除額が減少する可能性がある

免税事業者と取引を行っている場合、取引先が免税事業者のままでは、仕入税額控除の施行が不可能です。したがって、これまでと同じ取引先から商品を購入していても、消費税額の処理方法が異なるため、控除額が減少し、納付税額が増加します。

 

経営上、どの事業者から商品を仕入れるかによって、納付税額に大きな差が出る場合もあるので、今後は取引先の選び方も収益に影響すると考えられます。

 

 

小規模の個人事業主やフリーランスが働きにくくなる

制度開始後、免税事業者のままでは取引先の課税事業者が取引に際して仕入税額控除を受けられないため、相手に損をさせてしまうことになります。これを嫌って、取引先の業者に契約を切られ、ほかのインボイス登録済み業者に乗り換えられるおそれがあります。

 

また、発注側がインボイス未登録業者を避ける傾向が高まると考えられるため、インボイス未登録の個人事業主は新規の取引先獲得が難しくなることも懸念されます。

 

インボイス制度が導入されると、上記のような問題で個人事業主やフリーランスが働きにくくなる可能性が高く、この点もインボイス制度に批判的な声が上げられている理由のひとつです。

 

一方で発注側も、個人事業主と取引している場合には注意が必要です。インボイス制度導入をきっかけに、取引先をインボイス登録済みの業者に変更すると、取引が終了したことが原因で廃業する個人事業主も出てきます。

 

取引を切り替えたことで廃業する個人事業主が増えると、発注できる業者が次第に減っていきます。これにより、自社や業界に影響が生じる可能性があるため、発注側はインボイスに対応しているかどうかで安易に取引先を決めるのは避けましょう。業者を選ぶときには、本当に取引したい事業者かどうかを考慮する必要があります。

 

 

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個人事業主等が免税事業者であり続ける場合のデメリット

売上が1,000万円未満だった個人事業主やフリーランスは、これまで免税事業者として業務を行ってきました。そのため、インボイス制度導入にあたっては、免税事業者のままでいるか、課税事業者となりインボイスに登録するかを選ぶことになります。

 

では、制度開始後も免税事業者のままだとどうなるのでしょうか。以下では、今後も免税事業者であり続ける場合に生じうるデメリットについて解説します。

 

 

受注の減少による廃業

インボイス制度の導入によって、廃業せざるを得ない個人事業主も出てくるのではないかと危惧されています。なぜインボイスで廃業する人が出てくるのでしょうか。

 

インボイス制度では、課税事業者は免税事業者との取引において仕入税額控除が受けられません。消費税を余分に支払わなければならないため、免税事業者との取引は課税事業者にとって損となります。それゆえインボイス制度の導入をきっかけに、免税事業者との取引を終了する課税事業者は多いでしょう。

 

免税事業者は今後、課税事業者から取引を打ち切られる、あるいは避けられる可能性が高くなります。新規の取引先獲得が難しくなれば、受注の減少は避けられません。その結果、免税事業者の中でも、売上がそれほど高くない個人事業主や小規模事業者は、廃業を迫られる事態になる可能性があると考えられます。

 

 

値引きの提案による収益の減少

インボイス制度では、免税事業者との取引で生じた消費税には仕入税額控除が適用されません。

 

取引先の課税事業者は、免税事業者との取引で生じた消費税を負担しなくて済むよう、免税事業者に対し、支払い額から消費税分を値引きする提案をしてくる可能性があります。そうなれば、収益から消費税分がなくなるため、免税事業者はこれまでよりも収益が減ってしまうことになります。

 

この点も、免税事業者から批判の声が上がっている理由のひとつです。

 

 

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個人事業主等が課税事業者になる場合のデメリット

上記のようなデメリットを回避するために、免税事業者がインボイス制度導入をきっかけに課税事業者になる選択肢もあります。

 

しかし、課税事業者になったらなったで、今度は消費税の納付義務が生じ、消費税の計算や申告、納税といった作業が新たに加わります。これまで売上の消費税納付を免除されてきた事業者にとって、消費税の納付は大きな負担になります。もっとも、この点は後述する負担軽減措置や補助金の利用によって、ある程度カバーすることが可能です。

 

なお、消費税の納付義務が発生するのは、適格請求書発行事業者として登録された日からです。

 
 

 

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【課税事業者】インボイス制度の対応ポイント

制度に対応するポイントとして、事業者の登録や請求書のフォーマット変更、経理業務の見直しなどが挙げられます。これらを踏まえたうえで適切に対処すれば、スムーズに進められるでしょう。

 

 

適格請求書発行事業者の登録

前述の通り、インボイス制度は2023年10月から実施されます。実施前に登録するには、原則として2023年3月までに、登録申請書に必須項目を記入し、税務署に提出しなければなりません。特に3月は、確定申告などにより税務署の繁忙期でもあるため、早めの提出がおすすめです。

 

登録完了後には、税務署から「課税事業者の登録番号」の通知が届きます。

 

 

請求書のフォーマットを変更

請求書の作成にあたっては、今まで使用していたフォーマットの変更を忘れないようにしましょう。

 

請求書には、「事業者の氏名(名称)および登録番号」「取引年月日」「取引内容」「税率ごとに合計した対価の額および適用税率」「税率ごとの消費税額等」「請求書を受理する事業者の氏名(名称)」を示すことが義務付けられています。

 

 

経理業務の見直し

仕入税額控除を受けるにあたっては、作成・保存する書類の型が変わり、経理業務が複雑化すると考えられます。変更後の業務を考慮したワークフローを構築しておくことで、変化に順応できるなどの効率化が可能です。

 

また、制度の対処に適したシステムを取り入れることも、業務効率化につながります。「無限のAI入力ソリューション」は、書類の入力作業を自動化するクラウドサービスです。電子データ化していない取引先から届く、紙の帳票をスキャンしてアップロードし、AIがデータを読み取ることにより、デジタルデータに変換できます。

 

発注書や納品書がいつ届いても、AIによるミスの少ない入力作業がスムーズに行われ、大幅な時間コストの削減が叶うでしょう。簡単な4ステップのみで進められるので、経理業務を効率よくこなせます。月単位で契約できるため、繁忙期など求められる時期のみ利用する方法も、ひとつの手です。

 
 

 


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【免税事業者】インボイス制度の対応ポイント

免税事業者がインボイス制度に対応するポイントとしては、「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出し課税事業者になることと、負担軽減措置や補助金を利用することが挙げられます。また、同業他社との差別化を図ることで競合優位性を高め、免税事業者のままでも契約を維持するという方法もあります。以下でそれぞれ詳しく解説します。

 

 

消費税課税事業者選択届出書を提出する

免税事業者がインボイスに対応する方法として、制度導入を機に課税事業者になる選択肢が挙げられます。先述したように、課税事業者になれば取引先は仕入税額控除を受けられるため、以降も取引先との契約継続や新規の取引先開拓が期待できます。

 

課税事業者になるには、必要事項を記載した「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に持参または郵送にて提出し、適格請求書発行事業者登録を行う必要があります。届出書は国税庁のホームページからダウンロードが可能です。

 

提出期限は、適用を受けようとする課税期間初日の前日までとなっています。ただし、適用を受けようとする課税期間が事業開始日の属する課税期間である場合は、その課税期間中に提出します。
(参照元:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_01.htm

 

なお、課税事業者になると消費税納付のコストが生じますが、下記の方法で負担軽減が可能です。

 

 

簡易課税制度を利用する

消費税の申告方法には「原則課税」と「簡易課税」の2種類があり、後者は前々年の課税売上高が5,000万円以下の事業者が利用できます。

 

原則課税は「当期の売上に関する消費税-支出に関する消費税」で算出します。一方、簡易課税は「当期の売上に関する消費税×みなし仕入れ率」で算出するのが特徴です。みなし仕入れ率は事業区分によって異なり、第1種事業(卸売業)の90%から第6種事業(不動産業)の40%まで設定されています。
(参照元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6509.htm

 

原則課税で計算した場合と、簡易課税で計算した場合とを比較してみましょう。参考までに、ここでは飲食店を例に解説します。飲食店は第4種事業に属するため、みなし仕入れ率は60%です。この飲食店の売上高が500万円(税額50万円)、仕入額が200万円(税額20万円)の場合、まず原則課税で計算すると次のようになります。

 

50万円-20万円=30万円(納付額)

 

対して、簡易課税で計算すると次のようになります。

 

50万円-50万円×60%(みなし仕入れ率)=20万円(納付額)

 

このように、みなし仕入れ率をかけて計算したほうが少額の消費税になる場合は、簡易課税で申請したほうが納付額は少なく済むため、節税になります。

 

なお、簡易課税制度を利用するためには、必要事項を記載した「消費税簡易課税制度選択届出」を所轄の税務署に提出し、所定の手続きを行う必要があります。届出書は国税庁のホームページからダウンロードが可能です。
(参照元:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_13.htm

 

 

2割特例を利用する

免税事業者がインボイス制度導入をきっかけに課税対象者になる場合、「2割特例」が受けられます。2割特例とは、適格請求書発行事業者になり、かつ前々年の課税売上高が1,000万円以下などの条件を満たす事業者向けに設けられた負担軽減措置です。

 

2割特例では売上税額の8割を引き、一律で20%の売上税額を納付します。前項の飲食店の例に当てはめると、次のような計算となります。

 

50万円×20%=10万円(納付額)

 

これは実質的に、簡易課税制度でいうところの「みなし仕入れ率を事業区分問わず80%で計算する」ことと同義であり、第3種~第6種事業に該当するうちの1種類のみ事業を行っている場合は、上記の例のように簡易課税制度よりお得になります。そうでない場合は簡易課税制度と比較し、より有利なほうを適用します。

 

2割特例の対象期間は、2023年10月1日~2026年9月30日を含む課税期間で、個人事業者の場合は2023年10月~12月から2026年分の申告までです。
(参照元:https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/invoice/index.html

 

 

インボイス対応に補助金を利用する

免税事業者がインボイス制度導入をきっかけに課税事業者になる場合、補助金制度を利用して負担軽減を図ることも可能です。主に利用できる制度としては、「小規模事業者持続化補助金」と「IT導入補助金」が挙げられます。

 

○小規模事業者持続化補助金
持続的な経営の実現に向け、小規模事業者等が自ら策定した経営計画に基づき行われる販路開拓や業務効率化などの取り組みをサポートするために、その経費の一部を補助するものです。

 

小規模事業者持続化補助金では「通常枠」のほか、特別枠である「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の計5類型が設けられています。これに加えて、要件を満たすことで別途「インボイス特例」が適用され、それぞれの補助上限額に50万円が上乗せされます。大まかな内容は以下の通りです。

 

(対象事業者)
・常時使用する従業員数5人以下の商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)
・常時使用する従業員数20人以下の宿泊業・娯楽業
・常時使用する従業員数20人以下の製造業その他
※いずれも法人・個人事業・特定非営利活動法人が対象

 

(補助率)
・一律2/3以内
※ただし、賃金引上げ枠のみ赤字事業者については3/4以内

 

(補助上限額)
・通常枠50万円、ほか200万円
※ただし、インボイス特例が適用される場合は+50万円

 

(参照元:https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_guidebook_ver7.pdf

 

なお、小規模事業者持続化補助金の第13回申請受付は、すでに2023年9月7日をもって終了しており、追って第14回の公募スケジュールが公開されるとのことです。詳しくは公式サイトをご確認ください。

 

○IT導入補助金
生産性向上やDXの推進、インボイス制度への対応などを目的として、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する取り組みに対し、その費用の一部を補助するものです。

 

IT導入補助金では、大きく分けて「通常枠(A・B類型)」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠」の3枠が設けられており、このうちインボイス対応に関係してくるのは、主にデジタル化基盤導入枠の「デジタル化基盤導入類型」と「商流一括インボイス対応類型」です。

 

デジタル化基盤導入類型は、会計/受発注/決済/ECシステムに特化し、ソフト・ハードの両面からその導入を支援します。一方、商流一括インボイス対応類型は2023年度から新設された類型で、インボイス制度に対応する受発注システムが対象となります。大まかな内容は以下の通りです。

 

(対象事業者)
・デジタル化基盤導入類型:中小企業・小規模事業者等
・商流一括インボイス対応類型:中小企業・小規模事業者等、その他の事業者等

 

(補助率)
・デジタル化基盤導入類型:ソフトウェア等は3/4以内または2/3以内、ハードウェアは1/2以内
・商流一括インボイス対応類型:中小企業・小規模事業者等は2/3以内、その他の事業者等は1/2以内

 

(補助上限額)
・デジタル化基盤導入類型:ソフトウェア等は50万円または350万円、ハードウェアは10万円または20万円
・商流一括インボイス対応類型:350万円

(参照元:https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbase/
(参照元:https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/digitalbased_invoice/

 

アンカーテキスト:中小企業庁「インボイス制度への対応に取り組む皆様へ各種支援策のご案内」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r4/r4_invoice.pdf

 

 

同業他社との差別化を図る

仕入税額控除を受けられないデメリットに優るものがあれば、取引先から「引き続き依頼したい」と思われ、免税事業者のままでも契約を継続できる可能性があります。もし今後も免税事業者のまま取引先と契約したいのなら、同業他社との差別化を図り、取引先にとって失いたくない業者になりましょう。

 

たとえば、他所よりクオリティの高い商品を提供したり、独自の強みやスキルがあったりすれば、同業他社よりも優れた業者と認められるかもしれません。とはいえ、決して簡単な選択肢ではないため、受注減や廃業などのリスクを考慮したうえで慎重に検討する必要があります。

 

 

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まとめ

インボイス制度の導入によって、課税事業者・免税事業者ともに少なくない影響が生じることが懸念されます。特に後者は、今後の取引を打ち切られたり、報酬減額の提案をされたりする可能性があり、場合によっては受注や売上が減り、廃業に至ることも考えられます。本制度に批判の声が上がっているのは、この点が特に大きいといえます。

 

免税事業者には、課税事業者となりインボイスに対応するか否かの選択が迫られます。インボイスに対応すれば、これまで通り取引の継続などが期待できます。しかし、負担軽減措置や補助金を利用できるとはいえ、消費税の納付義務により生じるコストは避けられません。

 

一方で、インボイス対応は義務ではないので、免税事業者のまま仕事を続けていく選択肢もあります。ただ、こちらも受注減や廃業のリスクを伴うため、軽々に決められるものではないでしょう。

 

いずれの選択をするにせよ、インボイスのメリット・デメリットを踏まえたうえで、慎重に今後の対応を検討することが大切です。

 

 


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