コラム

2023.02.06インボイス制度

インボイス制度のメリット・デメリットは? 必要性をわかりやすく解説

「インボイス制度」とはどのような制度なのか、企業は実施に備えて、どのように対処すべきなのでしょうか。本記事では、インボイス制度の概要のほか、メリット・デメリット、対処する際の要点などを解説します。

 

インボイス制度の対処方法について検討している企業は、本記事を参考にしてみてください。

 

 

 

 


インボイス制度のメリットデメリットを図解で解説

 

 

インボイス制度とは?

 

「インボイス制度」とは、2023年10月に実施される「適格請求書等保存方式」を表します。消費税の仕入税額控除において、仕入れ時に作成する、発注書や納品書などの書類の様式が変わります。

 

制度を採用した場合は、標準税率の10%や軽減税率の8%など、それぞれの税率が明記されたインボイスを使用しなければなりません。適格請求書(以下:請求書)は、従来よりも必須項目が増え、さらには、税務署長に登録が認められた「適格請求書発行事業者(以下:事業者)」のみ作成できます。

 

商品を売る側が請求書を作成することで、仕入れを行った買い手に適用税率とそれぞれの購入額、消費税額などを明確に伝えられるようになるのです。

 

また、登録が認められていない、対象外の事業者から受理した請求書では、仕入税額控除を受けられなくなります。ただし、従来の様式でも経過措置が行われるため、控除を受けられる割合は段階的に引き下げられていく形です。2026年9月までは80%、2029年9月までは50%と当分の間は一定の割合で控除を受けられます。

 

 

 

インボイス制度はなぜ必要?

 

インボイス制度が求められている理由として、何が考えられるでしょうか。この制度は、仕入れ時の消費税を正確に把握するために欠かせません。

 

また、消費税の控除額を算出できることから、不正やミスを防ぎ、納税額の算出を容易にする特徴もあります。請求書には、従来定められていた様式に加えて、「登録番号」「適用税率」「消費税額等」をプラスすることが必須です。

 

軽減税率が施行され、消費税率が2種類に定められてからは、消費税の算出が複雑化し、経理業務における手間がかかることが課題でした。請求書には、最初から税率の区分別に、消費税がわかりやすく表記されるため、正しい税額を容易に把握できるようになったのです。

 

仕入税額控除は、税率ごとに分けて算出しなければなりません。したがって、消費税率と税額が示されている請求書を使用することにより、仕入税額控除の算出や確認が効率化され、算出ミスや不正を防げるでしょう。

 

 

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インボイス制度が「ひどい」「やばい」と言われている理由

2023年10月に導入されるインボイス制度。仕入れ税額控除の仕組みが変わることを受け、SNS上では「ひどい」「やばい」といった否定的な声も目立ちます。この章では、インボイス制度とはどのような制度なのか、この制度が一部の人々からの批判の的になっている理由について紹介します。

 

 

事業者によっては仕事・報酬が減る可能性がある

インボイス制度が導入されると、事業者によっては仕事の受注や報酬が減る可能性があります。

 

インボイス制度が適用されるのは、課税売上高が1,000万円以上の事業者です。個人事業主や中小企業など課税売上高が1,000万円未満の免税事業者は、インボイス制度が適用されないためインボイス(適格請求書)を発行することができません。

 

免税事業者はこれまでと同様の区分記載請求書を利用できますが、取引先の課税事業者は従来の請求書では仕入額控除が行えません。そのため、今後は取引相手を免税事業者ではなくインボイスの発行が可能な課税事業者に絞る可能性が出てきます。

 

そうしたリスクを回避するためには、これまで免税事業者だった個人事業主なども自ら申請して課税事業者になり、消費税を納める必要があります。そうなれば、仕事が減少する事態を回避することはできても、今まで納める必要のなかった消費税が発生する分、報酬が減ってしまうでしょう。これが、インボイス制度が批判されている主な理由です。

 

 

消費税の申告・納税の業務負担が増える

個人事業主などこれまで免税業者だった人が課税業者となった場合、発生したすべての取引について消費税の区分を設定し、取引先から受け取った消費税と自ら納めた消費税を差し引いた金額を計算しなければなりません。こうした新たな作業が必要になるため、今までよりも消費税の申告・納税の業務負担が増えることになります。

 

ただ、この点に関してはインボイス制度に対応した会計システムなどを利用すれば、消費税区分もある程度は自動的に計算されるため、仕分けの手間を軽減できます。

 

 

請求書の様式を変更する必要がある

上述の通り、インボイス制度の導入後は、従来の区分記載請求書ではなく、適格請求書でなければ仕入額控除が受けられません。そのため、事業者は請求書の様式を適格請求書の様式に変更する必要があります。自社システムを用いているのであれば、それも変更しなければなりません。

 

具体的には、適格請求書の発行事業者の登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した合計額および適用税率、税率ごとに区分した消費税額などの項目が必要です。

 

ただし、現行の区分記載請求書にこれらの項目を追加すればよく、新たなフォーマットを一から作成しなければならないわけではありません。

 

 

個人事業主の本名が公開されてしまう

適格請求書発行事業者の公表サイトでは、インボイスの「登録番号」を入力すると、その事業者の名前などが表示されるようになっています。そのため、屋号やペンネームを用いて事業を行っている個人事業主は本名が知られてしまう可能性もあります。

 

本当であれば作家活動を続けたくとも、いわゆる「身バレ」を嫌がって活動終了を決意する個人事業主も出てくるかもしれません。
  
 
 
  
 
 
 
 
 
 
  

 

インボイス制度の抜け道はある?

免税事業者だった個人事業主にとってはデメリットも多いインボイス制度ですが、何とかこれまでと同じやり方でも不利益を被らずに済む抜け道はないのでしょうか。

 

 

インボイス制度に抜け道はない

結論からいえば、インボイス制度には残念ながら抜け道のようなものはありません。仕入額控除を受けるために課税事業者となったからには、納税義務のある消費税を納めなければ民事上の責任を負うことになる可能性が高まります。

 

また、適格請求書発行事業者の登録を受けていない事業者が適格請求書を発行する、虚偽の適格請求書を発行するなどの行為は、刑事罰の対象となるため注意が必要です。

 

以下では、インボイス制度によって生じるマイナスの影響を最小限に抑えるために、発注者と受注者のそれぞれが講じたい対策を紹介します。

 

 

値下げを要求する

課税事業者にとって、免税事業者と取引をすると消費税負担が増えるため、その分の値下げを要求することもひとつの方法です。

 

消費税負担の増加を理由に値下げを要求することは消費税転嫁を拒否することとなり、独占禁止法に抵触するのではないか、と考える人もいるかもしれません。

 

確かに、強い決定権などを有する事業者が、その優位的な地位を利用し、増税に際して個人事業主に不当な値下げ要求を飲ませた場合に、公正取引委員会によるペナルティを受ける可能性はあります。

 

しかし、インボイス制度の導入は増税とは無関係であるため、合理的な理由に基づく値下げ要求であれば違反とはなりません。

 

 

委託契約から雇用契約に切り替える

消費税は、あくまでも業務を外注した際に発生する税金です。そのため、個人事業主であれば、業務委託契約などではなく直接雇用契約を結べば、インボイス制度の影響を受けることはありません。

 

しかしながら、個人事業主などに仕事を発注している事業者にとっては、仕入税控除が使えない分、負担しなければならない消費税が増えるのがデメリットです。さらに自社の従業員として源泉徴収を行う必要があるなど新たに業務が増えることになるため、直接雇用への切り替えを提案しても受け入れてもらえない可能性があるでしょう。

 

一方の受注側も、個人事業主から雇用への切り替えを検討する際は、場所や時間に縛られない自由な働き方が難しくなる点を踏まえておく必要があります。

 

 


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インボイス制度の影響を受ける業種・受けにくい業種

インボイス制度が実施されても、すべての業種が等しく影響を受けるわけではありません。この章では、インボイス制度による影響が大きい業種と、あまり影響を受けずに済む業種について解説します。

 

 

インボイスの影響を受ける業種

インボイス制度の影響が大きいとされているのは、飲食業や雑貨店、個人事業主などです。飲食業では、仕入における税率が軽減税率8%のものと標準税率の10%のものとに分かれるため、税務処理が複雑化しやすいのが特徴です。

 

また、骨董品店や雑貨店、絵画店などは、免税事業者である個人から作品を仕入れる場合が多いため、消費税の納税負担が大きくなりがちです。

 

デザイナーやプログラマーなど企業から業務を受注することが多く、課税売上高が1,000万円未満で消費税の納税義務が免除されている個人事業主も、大きな影響を受けることは避けられないでしょう。

 

 

インボイスの影響を受けにくい業種

反対にインボイス制度の影響を受けにくいのは、個人による私的利用が中心の業種です。一例として、美容院、理髪店、サロン、マッサージ、スポーツジム、学習塾、音楽教室、英会話教室、居住住宅の賃貸オーナー、医療機関などが挙げられます。

 

これらの業種は、サービスを受けるのに要した費用を経費計上するために領収書の発行を求められることがほとんどなく、適格請求書発行事業者になる必要がありません。

 

そのため、同じ個人事業主であっても、企業を相手にすることが多いデザイナーやプログラマーなどと比べて、インボイス制度導入後も損をする可能性は低くなります。

 

 

インボイス未登録の事業者との取引はどうする?

インボイス制度には、取引への影響に配慮して経過措置が設けられています。それにより、免税事業者からの仕入れについても制度実施後3年間は消費税相当額の8割、その後の3年間は5割、仕入税額控除を受けることが可能です。

 

なお、自社が簡易課税制度を選択している場合、制度導入後も適格請求書を保存せずに仕入税額控除を受けることができるため、取引先が適格請求書発行事業ではない場合でも影響を受けません。

 

ただし、取引相手の対応次第では、条件の変更や仕入れ先自体の変更を検討する必要がでてくる場合もあることを頭に入れておきましょう。

 

 

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インボイス制度のメリット

 

インボイス制度では、「電子インボイス」を取り入れるのに役立つほか、デジタル化によって業務の効率化が叶い、事業者として有利な取引が可能になるというメリットが得られます。

 

 

電子インボイスを導入しやすくなり、業務効率化を図れる

電子インボイスとは、請求書を電子データに切り替えることです。2020年には、電子インボイスの普及を目的に設立した「EIPA(電子インボイス推進協議会)」が、使用する書類の様式などを策定しています。

 

インボイス制度の実施後は、仕入税額控除の算出が複雑化することから、算出処理の負担が厳しくなるでしょう。

 

ところが、電子インボイスを利用すれば、国内で様式が統一されているので、システムが異なる企業から受理した請求書でも、内容や情報を自動で取り込めます。当然、仕入税額控除においても、システム上で自動的に算出されるため、手間がかかりません。

 

また、請求書を電子化した場合、印刷や郵送料などの費用がかからず、発送に関する業務も大幅に削減できます。請求書は法律の下、7年間の保管が義務付けられています。電子化を採用しない限り、すべてファイリングした上での保管が必須です。

 

保管スペースの賃貸費用がかかっている場合は、電子化により保管スペースを削減して、コストダウンにつなげられるでしょう。

 

 

制度導入後の取引に有利となる

制度の実施後において、従来使用されてきた様式は仕入税額控除の対象外となるため、買い手側が納付する消費税額から控除されず、納付額が増加します。

 

ただし、すでに新しい様式を作成している場合は、制度が実施されてからも、仕入税額控除を受けられるので、買い手側は納税の負担を減らせます。

 

事業者は消費税の納税額に影響を受けないため、制度の実施後は取引先から商品を購入されやすい傾向にあり、それに伴って取引が継続する可能性が高くなります。また、仕入税額控除を受けられる事業者として、ほかの新しい取引先を見つけることが増えるでしょう。
 


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インボイス制度のメリットデメリットを図解で解説

 

 

インボイス制度のデメリット

一方、手続きの手間が増える、仕入税額控除額が減少するなどのデメリットも生じます。正確な処理を行うために、業務上の手間やコストが増加する点には要注意です。

 

 

手続きの手間が増える

事業者への登録が完了したら、商品を販売する際に使用していた従来の書類ではなく、新しい請求書の作成が必須です。それに伴い、請求書の交付や写しの保存、振り分け、管理などの業務が新たに発生します。

 

また、請求書の作成が可能なシステムへの移行も同時に行うため、負担の増大が懸念されます。

 

実際に登録が認められるのは、基準期間の課税売上高が1,000万円以上の課税事業者のみです。それに対し、基準期間の課税売上高が1,000万円未満の事業者は、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」に該当するので、請求書を作成できません。

 

基準期間の課税売上高とは、個人事業主では前々年の課税売上高、法人では前々事業年度の課税売上高を表します。

 

免税事業者が「消費税課税事業者」を希望する場合、課税期間が始まる前に「消費税課税事業者選択届出書」を記入して税務署長に提出し、登録を認めてもらうことが要されます。ただし、提出後2年間は免税事業者に戻れない点に注意しましょう。

 

 

仕入税控除額が減少する可能性がある

免税事業者と取引を行っている場合、取引先が免税事業者のままでは、仕入税額控除の施行が不可能です。したがって、これまでと同じ取引先から商品を購入していても、消費税額の処理方法が異なるため、仕入税額控除額が減少し、納付税額が増加します。

 

経営上、どの事業者から商品を仕入れるかによって、納付税額に大きな差が出る場合もあるので、今後は取引先の選び方も収益に影響すると考えられます。
 


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インボイス制度の対応ポイント

制度を対処するポイントとして、事業者の登録や請求書のフォーマット変更、経理業務の見直しが挙げられます。これらを踏まえた上で適切に対処すれば、スムーズに進められるでしょう。

 

 

適格請求書発行事業者の登録

前述の通り、インボイス制度は2023年10月に実施されます。実施前に登録するには、原則として2023年3月までに、登録申請書に必須項目を記入し、税務署に提出しなければなりません。特に、3月は確定申告などにより、税務署の繁忙期でもあるため、早めの提出がおすすめです。

 

登録完了後には、税務署から「課税事業者の登録番号」の通知が届きます。

 

 

請求書のフォーマットを変更

請求書を作成するには、今まで使用していたフォーマットの変更を忘れないようにしましょう。

 

請求書には、「事業者の氏名(名称)および登録番号」「取引年月日」「取引内容」「税率ごとに合計した対価の額および適用税率」「税率ごとの消費税額等」「請求書を受理する事業者の氏名(名称)」を示すことが義務付けられています。

 

 

経理業務の見直し

仕入税額控除を受けるには、作成・保存する書類の型が変わり、経理業務が複雑化すると考えられます。変更後の業務を考慮したワークフローを構築しておくことで、変化に順応できるなどの効率化が可能です。

 

また、制度の対処に適したシステムを取り入れることも、業務効率化につながります。「無限のAI入力ソリューション」は、書類の入力作業を自動化するクラウドサービスです。

 

電子データ化していない取引先から届く、紙の帳票をスキャンしてアップロードし、AIがデータを読み取ることにより、デジタルデータに変換できます。

 

発注書や納品書がいつ届いても、AIによるミスの少ない入力作業がスムーズに行われ、大幅な時間コストの削減が叶うでしょう。簡単な4ステップのみで進められるので、経理業務を効率よくこなせます。月単位で契約できるため、繁忙期など求められる時期のみ利用する方法も、ひとつの手です。

 

 

 

 

 

まとめ

インボイス制度は、仕入税額控除の算出を容易にし、不正やミスを防ぐことを目的として、実施される制度です。書類を電子化して処理する電子インボイスが可能、取引に有利になるなどのメリットを得られます。

 

ただし、手続きの手間が増える、仕入税控除額が減少する可能性があるなどのデメリットも考えられるため、スムーズな対処には、経理業務の見直しと適切な業務システムの導入が欠かせません。

 

「AI入力ソリューション完全クラウドサービス」を利用することで、手間のかかる書類の入力作業を自動化し、経理業務の負担の軽減および効率化が実現するでしょう。

 

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