2024.04.08電子帳簿保存法
請求書の電子化はいつから義務化?紙の請求書は廃止?改正電子帳簿保存法を徹底解説
2024年1月、日本のビジネスシーンは大きな転換期を迎えました。改正電子帳簿保存法の施行により、請求書の電子化が義務化されたのです。改正電子帳簿保存法の施行はどのような影響を企業に及ぼすのか、そして紙の請求書は本当に廃止されるのか、法改正の詳細とその意味をわかりやすく解説しますのでぜひ参考にしてください。
目次
● 請求書電子化は2024年1月から義務化
● 紙の請求書等の発行・受取はできなくなるのか?
● 【ケース別に解説】請求書類の保存方法は?
● 請求書などを電子化するメリットとは
● 電子取引の書類をデータで保存する方法
● 電子データの保存には2つの要件がある
● 電子データの保存義務はいつまで?
● 電子取引のデータ保存が適切でなかった場合の罰則
● 電子取引のデータ保存業務を効率化させるなら「ツナグ・ワークベース」がおすすめ!
● まとめ
2024年1月1日より、請求書の電子化が企業にとっての新たな義務となりました。
これは改正電子帳簿保存法の施行によるもので、企業間取引において電子データの形での請求書保存が必須となります。
請求書の電子化は、取引の透明性の向上、経理作業の効率化、そして紙の使用量削減を通じた環境保護に貢献することを目的としたものです。
企業は、この義務化に向けて適切な電子帳簿保存システムの導入や、既存の経理プロセスの見直しを迫られることになります。
改正電子帳簿保存法の施行に伴い、2024年1月1日以降、電子取引に関するすべての書類はデータ形式での保存が義務付けられています。
この施行は、請求書だけでなく、領収書、注文書、契約書など、取引に関わるあらゆる書類が含まれるものです。
義務化により、企業は紙ベースの書類管理から完全なデジタル化への移行が求められるため、データ管理のセキュリティ強化やアクセス制御など、電子保存システムの整備が不可欠となりました。
改正電子帳簿保存法は、一定の要件を満たすことで企業が電子形式で帳簿や取引に関する書類を保存することを認め、紙の書類保存を義務付ける従来の法律を見直すものです。従来は、請求書などは紙での保存が義務化されていました。
しかし、電子帳簿保存法により、企業は効率的かつ環境に優しいデジタル経理プロセスへの移行を加速させる必要が出てきました。また、改正法はタイムスタンプの要件緩和や、税務署長の承認なしで電子帳簿保存法の適用が可能になるなど、企業の負担を軽減する内容を含んでいます。
電子取引とは、企業間での商品やサービスの取引に際して、電子メール、EDI(Electronic Data Interchange)、クラウドサービスなどの電子的手段を用いて行われる取引のことを指します。
先述したように、電子取引に該当する書類には、請求書、領収書、注文書、納品書、契約書など、取引の証明や記録に関わるあらゆる文書が含まれると理解しなければなりません。
この法改正では、これらの電子取引に関する書類をデジタル形式で保存することが義務付けられており、保存時には真実性と可視性を保証する措置が求められます。
具体的には、電子データが改ざんされていないことを証明するタイムスタンプの付与や、検索機能の確保などが必要になり、これらはデータの信頼性と迅速な情報アクセスを保証するための重要な要件です。
しかしながら、これに伴うセキュリティ対策の強化や、システムの導入・運用コストなど、企業が克服すべき課題も存在します。特に小規模な企業にとっては、初期投資や維持管理の負担が大きくなりがちですが、政府や業界団体からの支援制度や情報提供を活用することで、負担軽減が可能です。
請求書類の電子化が義務化により、多くの企業や個人事業主が疑問に思っているのは、「紙の請求書などの発行・受取はもはや許されないのか?」という点です。
今回の義務化には、電子取引の書類は「データでの保存」が必須とされるため、紙の請求書の発行と受領の慣習にも大きな変化が起きています。しかし、この法改正がすべての紙の請求書などの使用を禁止するものではないことを理解することが重要です。
今回の法改正では、紙の請求書を発行すること自体は禁止されていません。法律は、電子取引に関連する書類はデジタルフォーマットで保存する必要があるということに焦点を当てています。
それでは、紙の請求書の発行はどのような状況で許されるのでしょうか。基本的に、取引相手が紙の請求書の提供を求めた場合、または電子的な方法での取引が困難な場合には、紙の請求書を発行し続けることができます。
ただし、発行した請求書の情報は電子データとしても保存する必要があり、この点での準備が必要になります。
紙の請求書の受取に関しても、全面的に禁止されているわけではありません。
取引先から紙の請求書を受け取った場合、それをスキャンして電子データ化し、適切に保存することが義務付けられます。このプロセスを「スキャナ保存」と呼び、この方法での保存も認められています。
スキャナ保存方式を用いれば、紙の請求書を受け取った事業者も法の要件を遵守しつつ、従来の取引形態を維持することが可能です。重要なのは、紙で受領した書類を適切に電子データとして管理・保存することで、法的な要件を満たすという点です。
企業や個人事業主はさまざまなケースでの書類の電子保存方法について適切に対応する必要があります。ここでは、請求書類の保存方法をケース別に解説します。
請求書などを電子的に作成した場合、そのまま電子データとして保存することが可能です。保存時には、電子帳簿保存法に定められた「真実性の確保」と「可視性の確保」の要件を満たす必要があります。
具体的には、タイムスタンプを付与することで改ざん防止の措置を講じ、検索機能を備えたシステムで管理することが推奨されます。また、保存データは定められた保存期間内はいつでもアクセス可能な状態に保たなければなりません。
請求書などを電子データで取引先に送付した場合、送付した請求書のコピー(控え)を電子データのまま保存します。この場合も、作成した元の請求書と同様に、改ざん防止のための措置としてタイムスタンプを付与し、検索可能な状態で管理することが求められます。
取引先から電子データで請求書などを受領した場合は、受け取ったそのままの形式で保存します。電子帳簿保存法の要件に従い、タイムスタンプを付与するか、事務処理規定を備え付けて保存します。
紙の請求書などを取引先から受け取った場合、その請求書をスキャナで読み取り、電子データ化して保存します(スキャナ保存)。スキャンしたデータは、必要に応じて検索可能な状態に管理する必要があります。これにより、紙ベースの書類も電子帳簿保存法の要件に対応した形で保管できます。
電子データ交換(EDI)を通じて取引書類を送受信した場合、送受信されたデータをそのまま電子的に保存します。EDI取引においても、取引の真実性を保証するためにタイムスタンプの付与が重要です。
また、EDIシステム自体が取引情報の訂正や削除を追跡可能な機能を持っている場合は、そのシステム内での保存が真実性の確保につながります。さらに、取引データをいつでも確認できるように、適切なアクセス方法と検索機能を備えた保存体制を整える必要があります。
請求書や取引書類の電子化は、現代のビジネス環境において重要な役割を担っています。これは単に企業に追加的な負担をかけるだけではなく、多くのメリットももたらします。
請求書や取引書類を物理的に印刷し、郵送するプロセスは、紙やインク、郵送料などの直接的なコストに加え、作業にかかる人件費や時間のコストが発生します。電子化により、これらのコストを大幅に削減することが可能です。また、デジタル形式での送付は瞬時に行えるため、郵送による時間の遅延を解消し、業務のスピードアップが期待できます。
リモートワークや在宅勤務が普及する中、物理的な書類にアクセスできない状況でも、請求書処理や取引書類の確認が可能になります。クラウド上に保存されたデータには、どこからでもアクセスできるため、地理的な制限なく業務を続けることが可能です。これにより、業務の柔軟性が向上し、非常時にも対応が容易になります。
電子化された書類は、適切なデータベースやクラウドサービス内で管理され、キーワード検索や分類検索を用いて瞬時に必要な書類を見つけ出すことができます。これにより、物理的なファイリングキャビネットを確認する時間が節約され、業務効率が大きく向上するでしょう。また、複数のスタッフが同時に同じ書類にアクセスし、作業することも可能になります。
紙の書類は時間の経過とともに劣化するほか、火災や水害、盗難といった予期せぬ事態によって永久に失われるリスクがあります。電子化された書類は適切なバックアップが取られていれば、これらのリスクから保護されます。災害や事故が発生してもデータの復元が可能であり、企業の重要な情報資産を守る上で非常に効果的です。
電子取引における書類の管理は、紙ベースの書類と異なり、特定の手順を踏むことで効率的かつ安全に行うことが可能です。ここでは、改正電子帳簿保存法に適合し、かつ組織の情報管理を最適化するための電子取引書類のデータ保存方法について具体的な手順を説明します。
電子取引書類の保存プロセスは、まず書類データを安全にダウンロードすることから始まります。取引先からメールで送付されたり、専用のポータルサイトで提供される場合があります。この際、データの完全性を保ち、セキュリティを確保するために、信頼できるネットワーク経由でのダウンロードを心がけましょう。
また、ダウンロードしたデータは、あらかじめ指定された安全なフォルダに保存することで、後のプロセスをスムーズに進められます。
データの管理効率を高めるためには、ファイル名に一定のルールを設けることが重要です。例えば、取引日付、取引先名、書類種類などを組み合わせた命名ルールを決めることで、後からの検索性を大幅に向上させることができます。ファイル名のルールを組織内で統一し、ダウンロードした書類データの名前を変更することで、書類管理の効率化及び迅速な情報アクセスを実現します。
最後のステップとして、変更した書類データを安全に保存します。ここでは、先に述べた法改正の要件に従った形での保存が必要です。
データの真実性と可視性を確保するため、適切な電子帳簿保存システムの使用が推奨されます。このシステムでは、データの自動バックアップ、タイムスタンプの付与、検索機能の提供など、法的要件に準拠した管理が可能となります。また、災害や事故に備えて、外部の安全なクラウドサービスにも定期的にバックアップを取ることで、書類データの保護を図ることも必要です。
電子データの保存に際しては、その管理方法や保存体制において、厳格なルールが適用されるようになりました。特に、この法改正においては、「可視性」と「真実性」の2つの重要な要件が定められています。これらの要件を理解し、適切に対応することが、法的な義務遵守だけでなく、企業のデータ管理体制の信頼性を高めるためにも不可欠です。
「可視性」とは、保存された電子データが、必要に応じていつでも確実に閲覧できる状態にあることを意味します。具体的には、電子データが整然とした形式で、明瞭な状態で速やかに出力できるような環境が求められます。これには、適切な検索機能の確保が必須であり、取引年月日、取引金額、取引先などで迅速に検索できるシステムの整備が必要です。
また、保存場所には、電子計算機(パソコンなど)、プログラム、ディスプレイ、プリンター及びこれらの操作マニュアルを備え付ける必要があります。
「真実性」とは、保存されている電子データが、その生成から保存に至るまでの間、不正な改変や削除が行われていないことを保証することです。
これを確保するためには、タイムスタンプの付与や、データの訂正・削除が記録されるシステムの導入、不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程の整備とその運用が必要とされます。真実性の確保は、電子データの信頼性と透明性を高める上で欠かせない要素です。
電子帳簿保存法では、一定の条件を満たしていれば、上記の厳格な保存要件を満たさなくてもよいケースが認められています。例えば、税務調査の際に「ダウンロードの求め」に応じられる状態にある場合、特定の検索機能の要件を満たさなくてもよいとされています。これにより、小規模企業や取引量が少ない企業などで、システム投資や運用の負担が軽減されるでしょう。
しかし、この例外を適用できるかどうかは、その企業の具体的な状況や準備状況によって異なりますので、注意が必要です。
電子帳簿保存法に基づく電子データの保存義務は、企業の経理部門にとって重要なポイントです。電子帳簿保存法は、紙による保存だけでなく、電子保存も含め、一定期間内に帳簿書類を保存することを義務付けています。
この義務の期間は、法人税法や所得税法では基本的には7年間、会社法では10年間とされています。さらに、特定の状況、例えば欠損金の繰越控除を受ける場合、保存期間が異なる場合もありますので、それについても詳しく見ていきましょう。
法人における帳簿書類および電子データの保存期間は、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。これは、法人が電子取引によるデータのやり取りを行った場合も同様で、保存義務は7年間に及びます。電子保存を選択した場合、電子帳簿保存法に定められた保存要件を満たしつつ、過去7年分のデータを保存する必要があるのです。
ただし、欠損金の繰越控除を受ける場合には、保存期間が最長10年間に延長されることがあります。これは、企業が損失を出した場合、その損失を将来の所得から差し引くことができる税制上のメカニズムに関連したものです。青色申告をしている法人は、欠損金を次の10年間にわたって繰り越して控除できます。この場合、関連する帳簿書類の保存期間も10年間に延びるのです。
所得税法や法人税法においては、過去の取引データについて7年分の保存が必要ではあるものの、会社法では、10年分の保存が必要であるとされています。そのため、多くの企業は、10年分の取引データを念のために保存しています。
2023年10月から始まったインボイス制度では、適格請求書の保存も大きなポイントです。
適格請求書とは、消費税の仕入税額控除を適切に行うために必要な請求書で、特定の情報が記載されている必要があります。この制度のもとで発行される適格請求書は、消費税法に基づいて保存される必要があり、その保存期間も基本的には7年間です。これにより、税務調査時に適切な仕入税額控除が行われているかを証明するための重要な資料となります。
電子データの保存義務期間に関しては、企業の規模や事業内容にかかわらず一律に適用される規則です。法改正や新しい制度の導入により、これらの義務や要件は変更される可能性があります。したがって、常に最新の情報に注意を払い、法的要件を遵守することが企業にとって重要です。
電子取引におけるデータの保存は、改正電子帳簿保存法により厳しく規定されています。法律の要求を満たさない保存方法を取ってしまった場合、その違反には罰則が伴うので注意が必要です。以下では、電子取引のデータ保存が適切でなかった場合に発生する可能性がある主な罰則について解説します。
青色申告者が電子取引のデータ保存義務を遵守していないことが判明した場合、税務当局から青色申告の承認を取り消される可能性があります。青色申告の承認を得ていると、所得税の計算において多くの税制上の優遇措置を受けられますが、保存義務違反によってこれらのメリットを失うことになるので注意が必要です。たとえば、特別な控除の適用を受けられなくなったり、利益の計算方法において不利な扱いを受けることになります。
電子取引データの改ざんや隠蔽が税務調査などで発覚した場合、税務当局から10%の追徴課税が科されることがあります。この罰則は、データの真実性を保持することの重要性を強調するものです。税務当局は、企業が正確な税金を申告し、納税しているかを確認するために、電子データの正確さを非常に重視しています。データが改ざんされたり、隠蔽されたりすると、税務当局の信頼を損ね、重大なペナルティに直面することになります。
電子帳簿保存法だけでなく、会社法でも特定の帳簿や書類の保存に関して規定があり、これらの法律に基づく保存義務を遵守していない場合、会社法上の罰則が適用されることがあります。たとえば、会社法では一定の帳簿書類を10年間保存することが義務付けられており、この保存義務を怠った場合、罰金などの刑事罰が科される可能性があるので注意が必要です。これは、会社の透明性と責任を確保するために、重要な書類の適切な保存が必要であるとされているためです。
電子取引のデータ保存業務が増加する中で、その効率化は企業の大きな課題となっています。特に、電子帳簿保存法の遵守が必須となる今日、電子データの適切な管理と保存は避けて通れない問題です。そんなとき、業務の自動化と効率化を実現する「ツナグ・ワークベース」のようなツールが、データ保存業務の効率化を強力にサポートします。
ツナグ・ワークベースは以下のようなポイントでおすすめです。
ワークフローを自由に設定でき、指定した申請書を役職などのステータスに応じて表示します。また、予算上限や有休残数等の管理・制御も容易に行えます。
ワークフローの承認状況がリアルタイムで確認でき、進行状況を一目で把握できます。承認や差戻し、引戻しなどの履歴も確認可能です。
クラウドサービスとして提供されるため、場所を選ばずに業務を行え、ペーパーレス化も進められます。また、デジタル化による脱ハンコも実現可能です。
2024年1月から改正電子帳簿保存法が施行され、請求書の電子化が義務化されました。法改正により、企業は国税関連の帳簿や書類を電子データとして保存することが必須になり、紙の請求書の取り扱いが大きく変わっています。
ただし、紙の請求書が完全に廃止されるわけではなく、特定の条件下では紙での発行や受取も認められています。請求書電子化が義務化されたことは、ビジネスのデジタル化をさらに加速させ、業務効率の向上やコスト削減に繋がると期待されているものです。しかし、同時に、適切な電子データの管理体制を整える必要があるため、企業は準備を進めなければなりません。電子帳簿保存法に迅速に対応するためには、業務の自動化と効率化を実現する「ツナグ・ワークベース」のようなツールを導入するのがおすすめです。
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