2021.07.28ワークフロー
見やすい業務フロー図の書き方のコツ!注意点までわかりやすく解説【イラスト付】
業務の効率化が重視される近年、多くの企業で導入されているのが「業務プロセス(業務フロー)図」です。本記事では業務プロセス図を用いる意味から、図の構成や種類、作成の際の注意点まで詳しくご紹介します。業務プロセス図に関する基本的な情報を網羅していますので、ぜひ参考にしてください。
業務プロセス(業務フロー)図」とは、業務内容や作業手順などを図表化したものです。業務プロセス図を使用する目的としては、主に以下のようなものが挙げられます。
・業務の可視化
・業務にまつわる情報の共有
・業務の流れの中に問題点がないかを探す
・業務内容を標準化し、誰にでもわかりやすくする
業務プロセス図を用いれば、誰が・いつ・どこで・何を行っているのかが一目瞭然です。それにより、他部署間とのやり取りもスムーズになり、仕事をより効率的に回せるようになります。また、業務の手順を誰にでもわかりやすい形で表すため、新人研修やマニュアルなどにも活用できます。
さらに、業務を可視化することで、効率の悪い工程を見付けやすいメリットもあります。ボトルネックとなっている部分や、省略が可能なプロセスを特定することで、さらなる効率化につながります。
一口に業務プロセス図といっても、多くの種類が存在し、規格や形式もさまざまです。ここでは、企業でよく使われているものを4種類ご紹介します。
もともとは情報処理の流れを示す図ですが、企業によっては業務プロセス図として使用しているケースもあります。各工程のパーツは、JIS(日本工業規格)の『情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号 JIS X 0121 – 1986』によって規格化されているため、社外の人が見てもスムーズに理解できるのがメリットです。
情報システムを通るデータの流れを可視化したもので、丸(バブル)を用いてプロセスを表すため、「バブルチャート」とも呼ばれています。円などを使って描く「プロセス」、2本の平行線で示す「データストア」、四角形や楕円を使った「ビジネス上(または他システム)の外部実体」、それらを矢印線で結ぶ「データフロー」という、4つの要素から構成されています。
データフロー図は、あくまでデータの入力元や出力先、格納の場所などを表すものです。ほかの業務プロセス図のように、処理の順序やタイミングを示しているわけではないので、違いをよく理解しておきましょう。
UML(統一モデリング言語)を用いた図です。もともとはプログラムの処理の流れを示していましたが、最近では業務プロセス図としても広く使われています。使用する記号がシンプルで、手順をロジカルに展開するため、複雑なシステムでも無駄を見付けやすいのが特徴です。
業界では「BPMN」という略称で知られる、国際標準規格として定義された表記法です。UMLと似ていますが、使用する記号は基本的なものだけでも100個以上あり、複雑な工程でもシンプルにわかりやすく表現できます。モデリングのレベルについても広く想定されており、基本的な業務プロセス図としての用途から、プロトタイピングや実装を目的とするレベルまで、目的に合わせて使い分けが可能です。
国際的に標準化された規格なので、海外の企業やスタッフとのやり取りにも使用でき、関係者間で共有しやすいメリットがあります。
ここからは、実際に業務プロセス図を作成するうえで知っておきたい情報をご紹介します。まずは基本的な構成要素について見ていきましょう。
業務プロセス図を構成する要素として、一般的に最もイメージしやすいのは記号や図形でしょう。図を描くにあたっては、さまざまな記号や図形が使用され、それぞれに意味を持ちます。日本企業で一般的に用いられるJIS記号の中でも、とりわけよく使われるものは以下の通りです。
・楕円形(端子):フローチャートの開始点と終了点を示します。
・長方形(処理):計算・代入といった処理にまつわるアクションや指示を示します。
・ひし形(判断):判断による決定が必要な箇所で使われ、判断の結果によりプロセスが分岐します。
・丸(結合子):プロセスが長くなりページ内で2列に表示されたり、セクション間をジャンプしたりする際に、結合子として使われます。
・矢印:手順の方向を示します。
ちなみに国際標準のBPMNでは、同じ形状の記号でも異なる意味を示すものもあります。業務プロセス図を作成する際は、使用する規格の記号を事前に確認し、意味を把握しておくことが重要です。
記号や図形を配置したプロセスは、必ず外側を枠で囲います。枠で囲う理由は、たとえば時系列が同じでも、店員側と客側など主体が変わることで、まったく違うプロセスを辿るからです。枠で囲うことで、ケースごとに分割して見られるようになり、プロセスがよりわかりやすくなります。
図形や矢印だけでは伝わらないアクションや分岐などの詳細な内容を、補足情報として文章で記入します。多くの場合、矢印や図形のそばに記載されます。枠の上部などには「担当者」や「部門」といった項目名を記述し、フローの主体を明確にします。
業務プロセス図を作成するにあたって、明確にしておかなければならないのが、何を目的とするのかという点です。
・誰のためのものなのか
・対象の業務は何か
・使い道は何か(現状業務の共有、現状の問題点の抽出・改善など)
・現状の業務プロセス図を描くのか、改善のための理想図を描くのか
これらのポイントについて事前に定義しておけば、自ずと必要な業務プロセス図の全貌が見えてきます。作成の際も方向性がぶれることなく、ベストな図を描けるでしょう。
業務プロセス図の意義は、他部門や他社の人間も含めた、プロセスに関わる全員が情報を共有することにあります。そのため図を作成する際は、プロセスに関わる担当者やクライアントなど、関係者を全員洗い出す必要があります。関係者の名前などを必要に応じてスイムレーンに追加することで、誰がどのようにプロセスに関わっているのか、全員で情報を共有できます。
「タスク」とは、プロセスを実行するうえで必要な作業や処理を指します。業務プロセス図を作成する際は、まずそれぞれのプロセスに関わる関係者にヒアリングを行い、すべてのタスクを細かく洗い出しましょう。そのうえで、記載する必要があるものとそうでないものを分類し、実際の業務プロセス図に反映させます。
使用する記号や図形の数が多すぎると、かえって見づらくなってしまいます。複雑なプロセスであっても、記号や図形は最低限にとどめるよう努めましょう。多くとも15個程度にとどめておくと、シンプルで見やすい業務プロセス図を作成できます。
タスクの分類において、必要と判断された作業や処理は、業務プロセス図に時系列で並べます。業務プロセス図では、この正しい時系列で並べることが大変重要です。というのも、作業の順番があべこべだったり、時系列の関係性がはっきりしていなかったり、並列するスイムレーンの時系列がずれていたりすると、業務の流れがわかりにくく、関係者間の認識に混乱が生じてしまうからです。タスクを並べる際は各担当者に確認し、時系列を明確にしておくようにしましょう。
わかりやすい業務プロセス図は、必ず開始点や終了点が一点に絞られています。担当者や部署ごとに開始点が複数あると、全体の流れが把握しづらくなるからです。
作業自体は複数の部署で並行して進めていても、始まりや終わりのタイミングは、日時や外部からのアクションにより、1つのポイントに絞れるはずです。ほかの作業との因果関係も見極めながら、開始点・終了点をまずはっきりと定義しましょう。
意思決定などの判断で業務の流れが分かれる場合、それぞれのプロセスを処理記号だけで表現すると記号の数が多くなり、わかりにくい図になってしまいます。
わかりやすい業務プロセス図を目指すなら、条件分岐の記号を効果的に活用しましょう。ただ、その際は業務の流れがわかれる条件を明記することと、分岐先にどのようなタスクがあるのかをしっかり明示しておくことが大切です。
また、条件分岐を使いすぎても見にくい図になってしまいますので、細かく分かれる場合は分岐記号を使わず、箇条書きで横に補足説明をするなど工夫しましょう。
業務プロセス図は、業務の流れを関係者で共有することが目的です。そのため、それぞれが好きな規格で図を作成すると、全員に意味が伝わらず、補足説明が必要になったり、統一化しなければならなかったりするなど、かえって手間がかかってしまいます。
業務プロセス図を作成する際は、事前に使用する規格を決めておき、全員共通の規格を使用することが大切です。実際、多くの日本企業ではJIS規格が使われています。JISを使った業務プロセス図なら、社外の人が関わる場合でも情報を共有しやすいでしょう。また、海外の人や企業が関わる場合は、国際標準規格であるBPMNの使用をおすすめします。
業務プロセス図は業務の流れを可視化し、社内外で共通認識を持ったり、改善点を洗い出したりするのに大変有効なツールです。業務プロセス図をうまく活用すれば、無駄なプロセスを省略でき、業務の効率化につながります。
また、より業務を効率的に進めるには、可能な部分を自動化することも重要です。
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業務プロセスを改善したいとお考えの企業担当者の方は、ぜひ業務プロセス図と併せて、二次元ワークフロー・ソリューションの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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