コラム

2021.01.26AI-OCR

電子書類とは?書類の電子化との違い

労働市場における人手不足が深刻化する中、業務効率化の対応策として注目が集まる「電子書類(電子文書)」。今回は、社内の資料を紙からデータに移行してペーパーレス化することで、業務の効率化を図ろうと考えている企業の担当者に向け、電子書類の概要や電子化書類との違い、導入のメリットや注意点について解説します。
 

 

 

 

 

電子書類(電子文書)とは

電子書類とは、WordExcel、会計ソフト、CADDTPソフトといったソフトウェアで作成・保存した文書データのことです。

 

日本では元々、取引の証拠となる契約書や請求書、帳簿、納品書、預金通帳、診察記録、建築図面といった国税関係書類について、紙の資料で保存することが義務付けられていました。しかし2005年、こうした書類のデータ保存を認める法律・e-文書法が施行されます。これにより、国税関係書類についてもデータ保存ができるようになりました。

 

国税関係書類をデータ保存するためには、改ざん防止などの観点から、EDIElectronic Data Interchangeの略、企業間での取引情報をインターネットや専用回線を用いてやり取りするシステム)や、VANVirtual Private Networkの略、企業間での取引情報をデータ交換するための通信網)など、電子書類のやり取りに対応したサービスを利用する必要があります。

 

 

電子書類と電子化文書との違い

文書をデータで保存するやり方としては、電子書類のほかに書類電子化を行う「電子化文書」というものがあります。この2つは、言葉はよく似ているものの、対象となる文書や文書の作成方法、法律で定められた保管要件が異なります。ここからは、電子化文書の詳細とそれぞれの違いを見ていきましょう。

 

電子化文書とは

電子化文書は、紙の文書をスキャナーなどで読み取って電子化したものです。一般的にスキャナー保存として知られ、紙の文書をPDFファイルなどに変換して保存します。ただし、契約書などの国税関係書類を電子化する際には、法律で定められた細かい保管要件を満たさなければならないため、注意が必要です。

 

電子書類と電子化文書との違い

電子文書は初めから電子データとして作成されおり、文字コードを保有しています。このため、パソコン操作で特定の文章を選択してコピーしたり、検索したりすることも可能です。その一方、スキャナーで取り込んだ電子化文書は文字コードを保有せず、画像データとして保存されています。つまり文字も画像の一部でしかなく、特定の文章を選択できないのが特徴です。

 

また、電子書類と電子化文書は、保管要件と税務署への承認を要するかどうかでも明確な違いがあります。電子書類を保管する場合、そのデータがある時刻に存在していたことを証明するタイムスタンプを付けるか、もしくは文書の削除や変更をできないようにしたり、削除や変更ができたとしても履歴が残るようにしたりする適正事務処理規定の整備が必要です。

 

これに対し、電子化文書を保管する場合は、タイムスタンプの付与と適正事務処理規定の整備の両方が求められるうえ、事前に税務署の承認を得なければなりません。

 

 

電子書類(電子文書)を利用するメリット・利点

ここからは、電子書類を利用するメリットを解説していきます。

 

スペースを節約できる

資料を電子化して原本を処分すれば、それまで資料を保管していたキャビネットなどの物理的なスペースを節約できます。また、空いたスペースを活用して人員を増やしたり、新しい設備を導入したりもできます。

 

情報検索がしやすくなる

電子書類は、検索性を向上させるうえでも有効です。電子書類には、そのデータの属性を示す「メタデータ」が付与されるため、パソコンでキーワード検索をすれば、膨大なデータが保存されているストレージの中から、必要な情報を容易に見つけることができます。

 

一方で紙の資料は、ファイリングや探し物に加え、資料を見つけたとしても、その中のどこに必要な項目が記述されているかを見つけるためにさらに時間がかかるでしょう。電子書類であれば、業務に直接関係のないこうした無駄な時間を削減できることから、業務効率化だけでなく、残業代などのコストカットにもつながります。

 

ファイル共有がしやすい

電子書類や電子化文書は、ファイル共有がしやすい点もメリットの一つです。電子ファイルは社内共通のストレージに格納されるため、あらゆるファイルを全社的に一元管理でき、社内の人間なら誰でも必要な時にアクセスできます。

 

また、紙の資料をしまっておく際には、ほかの社員でも何がどこにあるのかがわかるよう、丁寧にファイリングしなければならないという問題がありますが、電子書類であればこうした面倒な書類管理の手間も省けるでしょう。

 

情報漏洩や紛失を防止できる

電子書類や電子化文書を使えば、情報漏洩や資料の紛失を防止することもできます。紙の資料は簡単に複製や閲覧ができますが、電子データはパスワードの設定や暗号化といった適切なセキュリティ対策を行うことで、盗難や改ざん、悪用などからデータの中身を保護できるためです。

 

データをバックアップして外部のデータセンターに保管しておけば、万が一火災などの事故が起きたとしても、大切なデータを焼失せずに済むでしょう。

 

また、データの保存場所やファイル名を事前に決めておけば、必要な時に大量の資料に埋もれて見つからないという事態を避けられます。

 

 

電子書類(電子文書)を利用する際の注意点

電子書類は便利ですが、利用にあたっては注意しなければならない点もあります。

 

紙で保管しなければならない文書もある

中には法律や会社の規則、業務上の理由などから、紙で保管しなければならない書類もあります。例えば、紙で交わした契約書は、基本的に紙で保管しておく必要があり、電子化した契約書では裁判時に効力が認められません。こうした書類は電子化することには構いませんが、必ず紙の原本を残しておかなければならないため注意が必要です。

 

電子化した方が、業務上都合がいいというのであれば、紙の資料を保管したうえで、普段の業務では電子ファイルを利用する選択肢もあります。紙とデータを両方残しておくことは、紛失のリスクを減らすことにもつながるでしょう。

 

移行時のコストがかかる

ペーパーレス化に移行するには、デジタル機器の導入コストがかかります。それだけでなく、データを安全に保管するためのセキュリティ対策や、ソフトウェアのアップデートにかかる費用も必要です。

 

ただし、イニシャルコストがかかる反面、資料の印刷代や廃棄代、輸送代などが抑えられるほか、資料管理にかかる時間を短縮することで結果として人件費の削減にもつながります。社内でペーパーレス化に賛同してもらうためには、こうした可視化しにくい費用面のメリットを提示するとよいでしょう。

 

ファイルサーバープロバイダーの影響を受ける

電子書類や電子化文書は、インターネットを通じてクラウド上に保存されています。このため、何らかの原因でネット環境が不安定になったり、社内のシステムがダウンしてしまったりすると、データの閲覧ができなくなってしまいます。システム障害への不安は企業にペーパーレス化を踏み留まらせる要因の一つであり、今後の課題といえるでしょう。

 

 


 

まとめ

いくつか課題は残るものの、電子書類や電子化書類は、業務効率を改善するうえで非常に効果的な手段です。情報管理に費やす時間や、それに伴う人件費を削減するためにも、全社的なペーパーレス化を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。

 

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OCRとは、手書きの資料や紙に印字された文字をスキャナーで取り込んでデータ化する技術ですが、AI入力ソリューションでは単にデータを取り込むだけでなく、補正処理を行うことで正確性を向上するほか、会計ソフトなどの基幹システムと連携することもできます。ぜひ、毎日の発注業務や勤務表の入力業務などにご活用ください。

 

 

 


 

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