コラム

2023.07.25AI-OCR

OCR機能とは?導入のポイントやメリットについてわかりやすく解説

 

OCR機能とは?導入のポイントやメリットについてわかりやすく解説

日本語で「光学的文字認識」とも呼ばれるOCRは、紙の情報をコンピューターで読み取り可能なデジタルデータに変換する技術であり、郵便番号の読み取りなどで古くから活用されてきました。

 

近年では、AI技術により認識精度が飛躍的に向上したことに加え、ペーパーレス化や業務のデジタル化に伴うニーズ増加をきっかけに、改めてOCRに注目が集まっています。

 

 
 
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OCR機能とは?紙の文書をテキストデータ化

「OCR(OpticalCharacterRecognition/Reader)」とは、カメラやスキャナで読み取った画像データに含まれる文字を認識して、テキストデータとして出力する技術です。「光学的文字認識」とも呼ばれます。

 

1960年代後半には、すでに郵便番号読み取り用途の国産OCR製品が登場するなど、比較的古くから使われている技術です。現在では名刺管理アプリやGoogleレンズなどのサービスでもOCRが利用されており、多くの人にとって身近な技術となりました。

 

ビジネスシーンでは契約書や帳票をはじめ、保管が必要な書類の情報をデジタルデータとして管理するための手段として、またRPAと組み合わせた業務効率化の手段としても、OCRが活用されています。

 

さらに、近年では経理業務のデジタル化が進んでいることも、企業のOCR導入を後押しする一因となっています。2022年1月には「改正電子帳簿保存法」が施行され、日付・金額・取引先が検索可能な状態で、帳票をデジタルデータとして保管するニーズがより高まりました。

 

加えて、2023年10月から導入される「インボイス制度」の存在も影響しています。これは仕入れ税額の控除に際して、適用税率や消費税額を記載した「適格請求書(インボイス)」と呼ばれるフォーマットが必要な制度です。

 

これにより、企業はシステム変更や電子インボイス対応、業務フロー変更などが求められる可能性があります。それを踏まえて、担当者の業務負担軽減や入力ミス防止などの観点からも、OCRへの期待が高まっています。

 

インボイス制度の詳細は以下記事をご覧ください。

 

 


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OCRの仕組み

OCRは、いくつかのプロセスに分けて文字を認識します。基本的には、画像に含まれる文字データから文字を分割していき、元になる文字パターンと照合する流れです。

 

【ステップ1:画像の読み込み】

スキャナ、カメラなどの機器を用いて、紙の情報を画像として読み込みます。

 

【ステップ2:画像を解析する】

読み込まれた画像のレイアウトを解析し、文字領域と画像領域を分けます。その上で文字領域のみを認識対象として扱います。

 

【ステップ3:文字を認識する】

文字領域から、文字を1文字ずつ分解して認識していきます。具体的には、前処理として文字サイズを一定にしてから文字の特徴を抽出し、あらかじめ用意してある文字パターンと比較しながらマッチング作業を行い、画像がどの文字・数字であるかを特定します。

 

パターンマッチングのため、漢字の「目」と「日」、カタカナの「ソ」と「ン」のように、似ている文字同士は誤認識される可能性があります。

 

【ステップ4:出力する】

最後に、認識したテキストをデジタルファイルに出力します。多くの製品はPDFの他、WordやExcel、CSV、テキスト形式などに対応可能です。

 

 

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ビジネス面におけるOCRのメリット

ビジネスにおいて、OCRを活用するメリットはいくつかありますが、以下より代表的な3つのメリットを紹介します。

 

 

情報を瞬時に検索できる

紙の情報をテキストデータとして保管することで、コンピューター内で検索可能になり、必要な情報を素早く見つけられるようになります。前述の改正電子帳簿保存法でも、電子書類が検索できる状態であることが求められています。

 

単純にスキャナでデジタル化しただけでは、画像データとして保管されるため、検索性の向上には繋がりません。

 

 

手動入力・転記する手間が省ける

紙媒体の情報をテキストデータに変換することで、手作業で入力する必要がなくなります。担当者の単純作業に携わる時間を極力減らせば、より付加価値の高い業務に人的リソースを割くことが可能です。単純作業で発生しやすいヒューマンエラーの防止にもつながります。

 

また、出力されたデータは、WordやExcelなどのアプリケーションで再利用できます。OCRで変換したデータは、RPAで基幹システムへの入力や、会議資料としてグラフへの加工が有効です。

 

 

保管が簡単になる

紙媒体の保管は、ファイリングの手間や保管場所が必要になるばかりか、経年劣化のリスクがあります。OCRでデジタルデータとして保管すれば、管理も容易です。単純にスキャンして画像データとして保管できますが、テキストデータと比較すると、使用する保存容量が膨大になってしまいます。

 

また、デジタル化してクラウド上に保管しておくことで、テレワーク先からファイルを参照できるため、今後もテレワークが広がることを考えると、クラウド上にデータを保管できる点は大きなメリットです。

 

 


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OCRのデメリット

上記のように、OCRは企業に多くのメリットをもたらしますが、その便利さと同時に、デメリットもあるので要注意です。以下より、OCRの主なデメリットを紹介します。

 

 

類似文字の誤読がある

例えば「ぱ」と「ば」、「氷」と「水」、「太」と「大」など、視覚的に微妙な違いしかない文字は区別しにくいため、文字を誤読してしまうリスクがあります。これは、OCRの認識能力の限界によるものです。

 

同様の理由から、複雑な漢字のように読みにくい文字や、特殊なフォントを使用した文書では、誤読のリスクがより高まります。こうした誤読のリスクを低減するには、OCRが認識しやすい原稿を使用することが大切です。

 

具体的には、高解像度でなおかつ、読み取りやすい一般的なフォントを使用した文書なら、OCRの認識精度は大幅に向上します。あるいは、英数字で主に構成された文書であれば、OCRは高い精度で正確に読み取れます。

 

 

帳票のレイアウト変更への対応が難しい

OCRの利用シーンのひとつに、「帳票を読み取って、Excelなどの規定のフォーマットに転記する」があります。OCRにこの作業をさせるには、「どこの部分の文字を読み取って、どこに反映させるか」という事前の設定が必要です。

 

しかし、ビジネスシーンでは、取引先ごとに異なるレイアウトの帳票を扱うことは珍しくありません。そうした場合、帳票の種類ごとに事前設定が必要となるため、非常に手間がかかってしまいます。

 

さらに、OCRの認識精度はレイアウトの違いによって、左右されてしまうことにも要注意です。例えば、記入項目がしっかり区分けされていなかったり、文字が記入欄からはみ出してしまっていたりすると、OCRが正確に読み取ることは難しくなります。

 

 

人間のチェックが必要である

上記のデメリットがあるため、OCRを使用する際には、最終的に人間の目によるチェックが欠かせません。OCRが誤読した部分や読み取れなかった部分を、目視で確認して修正します。特に、OCRを使用した後に原本を廃棄する予定であれば、なおさらチェック作業を慎重に進めたいところです。

 

この作業は当然ながら、OCRで読み取ったデータが大量であればあるほど、工数が増えて煩雑化します。場合によっては、最初から自分で手入力した方が手っ取り早いかもしれません。OCRを導入したからといって、データの入力・転記作業を、完全には自動化できないことは心得ておきましょう。

 

 

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OCRでデータ化できる文字や記号

OCRは、一般的な文字や記号のデータ化が可能です。これにはひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、一部の記号などが含まれます。

 

ただし、デメリットとして前述したように、OCRはすべての文字や記号を100%正確に認識できるわけではありません。元原稿の品質やフォント、レイアウト、解像度などにより、認識率が変わります。

 

 


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OCRに向いていないデータとは

OCRの認識精度は100%ではないので、当然向いていないデータがいくつか存在します。具体的に以下のようなものが挙げられます。

 

 

手書きデータ

手書きの字形は個々で大きく異なるため、OCRでの処理には向きません。技術の進歩により、最近では手書き原稿の認識精度も向上してきていますが、まだ完全には読み取れないことが多いのが実情です。特に、走り書きのように雑に書かれた文字や癖の強い文字は、誤読のリスクが高まります。

 

 

人間でも見づらいデータ

基本的に人間にとって見づらいデータは、OCRにとっても読み取りづらいものです。

 

例えば、白地に明るい蛍光色などで書かれた文字は、OCRでも人間の目と同様に読み取りづらくなります。そもそもOCRは、モノクロ原稿に比べて、カラー原稿自体を苦手としている面もあります。その他に、古いフォント、黄ばみやかすれがある傷んだ原稿なども不向きです。

 

 

罫線が多いデータ

罫線は文字と混同され、「1」や「|」として誤認識されがちです。したがって、罫線の多いデータを取り扱う場合は、前処理で罫線を除去するなどの工程が含まれるため、余計な時間や手間がかかってしまいます。

 

 


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OCR機能導入のポイント

実際にOCRを導入する際には、以下の点に注意して検討することがポイントです。

 

 

読み取り精度

OCRは完璧ではないので、認識誤りによる誤字が発生します。認識精度が低い機器・サービスを導入してしまうと、後からチェックや修正作業が加わり、利便性が低下します。業務効率化・省人化を考慮する上で、認識精度の確認は重要です。

 

OCRは、定型的なフォーマットや活字の認識は得意である反面、書き手によって大きな差があり、レイアウトも自由自在な手書き文字の認識は苦手です。それを補うものが、OCRにAIを組み合わせた「AI−OCR」と呼ばれる技術です。

 

機械学習でOCRの誤認識を学習すれば、文字認識精度が高く、また事前に学習データを用意すれば、多言語対応や専門用語、手書き文字認識にも対応します。非定型なフォーマットでも、正しく認識できる点も特徴です。従来型よりもコストはかかりますが、用途によっては高い費用対効果が期待できます。

 

手書き文字のOCRを検討する場合は、AI−OCRなどの手書き文字認識に長けたサービスを検討するとよいでしょう。

 

 

出力形式や連携の可否

テキスト形式やCSV、JSONなど、製品によって出力形式が異なります。そのため、導入前に自社での運用シーンを想定して、必要な出力形式に対応しているかどうかを確認しておくと安心です。

 

また、拡張性を考慮して、OCR機器・サービスから他のアプリケーションへの連携が可能かどうかも、事前にチェックすることをおすすめします。

 

 

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OCR機能の注意事項

OCRは、画像や文書などから、テキストデータとして文字を読み取る便利な技術です。しかし、その性質上いくつかの限界があることを理解し、その都度対策を練らなければなりません。

 

まず、OCRでは読み取り元の紙や画像の状態が悪いと、認識精度が大幅に低下します。汚れたり黄ばんだりしている紙、ぼやけた不鮮明な画像、かすれた文字、明るい色の文字などはOCRの天敵です。既存の資料やデータについては仕方ないですが、今後資料や画像を取得・保存する際には、OCRで読み取ることを前提に、その方法を考える必要があります。

 

さらに、OCRは多様なフォーマットや複雑なレイアウトに対して、柔軟ではありません。あらかじめOCRに適したフォーマットを作成し、帳票をそれに統一する下準備などが必要です。苦手な手書き文字対策としては、事後のチェック作業を強化したり、人間が手入力したりするなどの施策が考えられます。

 

これらの点を考慮すると、OCRを使用する場合、結局は人間が多くの場面において、手間暇かけて介入することが求められます。しかし、こうした煩雑な作業を避け、より高次な自動化を実現する方法として、AI−OCRの導入が挙げられます。特に、手書き文字を多く扱う場合は、AI−OCRの導入を強く推奨します。

 

 


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AI−OCRとは?

AI−OCRとは、人工知能(AI)技術を組み込んだOCRサービスです。AIはごく簡単に言うと、人間の知的な能力を疑似的に再現する技術を指します。

 

前述した通り、OCRは手書き文字に対応しにくいなど、限界を感じることがあります。また、帳簿を読み取る場合は、帳簿のフォーマットごとに事前設定が必要など、柔軟な運用を進めたくても課題を避けて通れません。OCRに付随する、こうしたデメリットを埋めるものがAI−OCRです。

 

AIのアルゴリズムは、機械学習を通して学習や改善を蓄積していく形です。つまり、AI−OCRはOCRよりも、複雑なパターンや形状を持った文書に対応できるため、さまざまなフォントや手書きのテキストなどを正確に読み取れます。しかも、その認識精度は機械学習の効果によって、AIを使えば使うほど正確になっていきます。

 

このような機能により、AI−OCRはOCRが抱える誤認識の軽減や精度の向上が可能です。

 

 

OCRとAI−OCRの違い

OCRとAI−OCRの主な違いを改めて整理すると、以下の2点が挙げられます。

 

【より正確に多様な文字を認識できる】

OCRは、手書き文字やさまざまな書体・フォントの文字の認識が苦手です。それに対して、AI−OCRは機械学習の力を借りて、手書きの文字も正確に認識し、多様な書体やフォントにも対応できます。

 

【より柔軟にデータ処理ができる】

OCRは、固定されたテンプレートやフォーマットに基づいて、単純な方法で原稿データを解析・処理します。つまり、異なるレイアウトの文書に対しては、それぞれに合わせたテンプレートを準備しなければなりません。一方、AI−OCRはAIの力を活用して、文書の内容を理解するので、人間があれこれ調整しなくても、適切な方法でデータを処理できます。

 

これらの違いにより、AI−OCRはより高度なテキスト認識とデータ処理が可能であり、さまざまな業務プロセスにおける効率化や自動化を実現します。

 

 

株式会社無限のAI−OCR「AI入力ソリューション」とは?

AI−OCRを導入するなら、株式会社無限の提供するソリューション「AI入力ソリューション」がおすすめです。AI入力ソリューションは、認識率99.22%の読み取りエンジン「Tegaki」を搭載しているため、誤読などの少ない高精度のテキスト変換ができます。また、直感的な優れたUIを採用しているので、誰でもすぐに使いこなせる点が強みです。

 

操作マニュアルの提供はもちろん、必要に応じてDXコンサルタントによるサポートも依頼可能なので、初めてAI−OCRを導入する企業も安心して利用できます。リーズナブルでクラウドサービスに対応している点から、さまざまな面において導入のハードルが低いこともうれしいポイントです。

 

AI入力ソリューションを導入すれば、多種多様かつ大量の帳票や紙資料をスピーディーに電子化し、電子帳簿保存法やインボイスへの対応、そしてDXの推進を加速させるでしょう。

 

 


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まとめ

紙に書かれた情報をテキストデータに変換するOCRは、企業の業務効率化やデジタル変革に大きく貢献する技術です。特に近年は、リモートワークに伴う各種情報のオンライン化が求められている上、企業のDXを推進するため、アナログ情報のデジタル化も欠かせません。

 

そのため、OCRと特にフリーレイアウトや手書き文字に対応したAI−OCRの必要性は、急激に高まっています。導入するためには、OCR機能を備えた複合機・ドキュメントスキャナを購入・リースするほか、OCRツールを利用する方法があります。

 

これからOCR製品を検討する際には、読み取り精度はもちろん、自社の業務に合った形式に対応しているかなどにも、気を配ることがポイントです。適切な製品を見つけるのが難しい、基幹システムとの連携が必要、などの悩みを持つ場合は、無限が提供するAI−OCR「AI入力ソリューション」を試してみてはいかがでしょうか。

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