お客様事例

2023.08.03小売業

株式会社アクタス 様

世界各地の仕入れ先から届く、言語も書式も異なるPDFの注文請書。ライフスタイルストア「ACTUS」を展開する株式会社アクタスでは、これらの書類をすべて手作業でチェックしていました。対応に膨大な時間がかかることに加え、専門知識が求められる業務であることから人材育成にも影響が出ていたそうです。

 

 

 

そこで同社では、PDFの書類を自動で読み取るシステムの導入を検討しました。「バラバラの書式の読み取りには対応しきれない」という既存のOCR(光学文字認識)ソフトウェアの壁を超えるため、無限では二次元ワークフロー・ソリューションを開発基盤とし、注文請書と基幹システムの情報を照合する独自システムを開発。業務改善に成果が現れ、部門メンバーの意識も変わりつつあるといいます。

 

 

 

新たな仕組みを導入し、定着させるまでの秘訣とは。SCM本部ロジスティクス部 部長の南栄一さんに、オーダーメイドの開発を進めた無限との取り組みについて聞きました。

導入前の課題

顧客に寄り添い、ACTUSの価値を発揮するための“苦労”

―御社ではライフスタイルストア「ACTUS」での家具・インテリア製品の取り扱いをはじめ、アパレル事業や法人向け事業なども幅広く展開されています。どのようにしてサプライチェーンを支えているのでしょうか。

 

 

南:私が管掌するロジスティクス部では、全事業に関連する国内物流や倉庫管理、海外輸送、調達、購買などのミッションを担っています。

 

 

 

事業分野が広いことに加え、当社ではお客さまからのオーダー品の受注比率が高いこともあって、膨大な取り扱い点数に対応しなければなりません。デンマーク製のソファ製品だけを例にとっても、サイズや色、素材などの組み合わせが26万レコードに上る状況です。店頭で伺ったお客さまのご要望に基づき、こうしたオーダー品を一つひとつメーカーへ発注し、注文請書をやり取りしています。

 

 

なぜここまで、きめ細やかな対応を行っているのですか?

 

南:既存の製品を仕入れるだけでは、多様化しているお客さまの志向に対応しきれないからです。家具・インテリア業界の大手競合は大量生産によってコストメリットを実現していますが、ACTUSはコスト以上に付加価値を重視するお客さまに選ばれる店舗でありたいと考えています。

 

 

 

事業効率だけを考えれば、パッケージ化して売るだけの体制にしたほうが理にかなっているのかもしれません。しかしそれではお客さまに寄り添いきれず、ACTUSの強みも発揮できなくなってしまうのです。

―ロジスティクス部としては苦労も多かったのではないでしょうか。

 

 

南:業務の煩雑さを解消していくことが大きな課題となっていましたね。

 

 

 

データの改ざんを防ぐ目的から、仕入れ先メーカーと当社ではPDFで注文請書や請求書などをやり取りしています。お客さまからの受注内容に基づいてオーダーコードを特定・発注し、メーカーから確認のために届く注文請書を人の目で見て、オーダー内容や価格をチェックしていました。

 

 

 

仕入れ先は世界各国にあり、各社の書類は言語も書式もさまざまです。請求書の場合はインボイスの確認もしなければいけません。書類のチェックは一定の知識や経験が求められる業務となり、ロジスティクス部のスタッフには大きな負担となっていました。

ロジックが一定ではないPDFの読み取り。既存OCRの導入は非現実的だった

 

 

―この課題を解決するために、PDFの自動読み取りシステムの導入を検討されていたと伺いました。

 

 

南:はい。求める機能はPDFの文字読み取りだけだったので、当初はOCRのソフトウェア導入を検討していました。

 

 

 

ただ、パッケージで提供されている既存のOCRでは固定位置でしか読み取りができません。当社で使用するとなれば仕入れ先の書式ごとに膨大な設定作業が必要となり、導入を現実的に考えることはできなかったのです。

 

 

 

この悩みを無限さんに話したところ、「当社ならできます」という心強い回答をもらいました。PDFの文字読み取りに特化し、異なる書式でも同一条件で判別できるシステムを独自に開発していただけると。

 

―御社からの具体的な要望について、詳しくお聞かせください。

 

 

南:まずは仕入れ先ごとに独自で作っている書式をすべて読み取りできるようにすること。また、PDFExcelとは異なり列が微妙にずれているなどの不規則な部分もあります。ロジックが一定ではないものをうまく読み取り、私たちが指定する書式に反映することも要望しました。ここは無限さんが最も苦労した部分ではないでしょうか。

 

 

 

打ち合わせを進めていくなかで、私は無限さんのエンジニアリング魂に感銘を受けました。OCRに特化した知見を持つプロジェクトマネジャーやエンジニアが、私たちの困りごとをしっかりと理解し、解決策を的確に投げ返してくれるのです。「オーダーメイドで顧客に寄り添う」という姿勢は当社と通じるところであり、共感も覚えましたね。

 

 

 

―新規にシステム開発を進めるとなると、開発元とのコミュニケーションに不安を感じる人も多いかもしれません。今回の無限とのチームワークを南さんはどのように評価していますか?

 

 

南:私たちは技術面で詳しい知見を持っているわけではありません。だからシンプルに、やりたいことや困っていることだけを明確に伝えてきたつもりです。それに対して、無限さんは「できること」「できないこと」を整理し、変に遠慮することなくはっきりと伝えてくれました。この率直な会話があったからこそ、現場のメンバーも「使いこなせそうだ」という実感を得ることができました。

 

 

 

また、今回のシステム導入にあたっては自社サーバーの負荷増を避けることも課題でした。現状では、自社サーバーを使って部署単位で新規システムを導入するのが厳しい状況だったのです。この点についても無限さんは即座にAWSの活用を提案してくれて、問題なく乗り越えることができました。

システム導入後

「自分たちで業務改善を考え、実現していく」意識が広がった

―システム導入にあたり要した期間について教えてください。

 

 

南:検討期間として2カ月、導入準備期間として1カ月、そしてテスト・検証期間に1カ月を設けた後、20233月から本導入しています。

 

 

―本格的な導入にあたり、社内から懸念の声はありませんでしたか?

 

 

南:業務フローが変わることへの懸念はまったく出ていませんでしたが、「実際に業務時間を削減できるのか」は大きな論点となっていましたね。

 

 

 

最終的な決裁を得るにあたっては、開発コストに対して得られる時間効果を算出しました。現状の勤務時間と、メンバーへのヒアリング内容をもとに、将来的にどれくらいの時間削減効果があるかをシミュレーションして承認を得たのです。実際に本番導入してからは、徐々に想定に近づきつつあると感じています。

―部署内ではどのような変化が起きていますか?

 

 

南:PDFの読み取りについては、狙っていた通り異なる書式にも対応して問題なく進んでいます。定量的な成果が見える化されるのはこれからでしょうか。家具・インテリア業界は紙文化がまだまだ残っていますが、私たちの取り組みを通じて社内の他部署や取引先にもつながる変化を起こしたいと考えています。

 

 

定性面では、メンバーの意識が大きく変わりつつあると感じます。今回の取り組みでは現場の業務リーダーも開発プロジェクトに加わり、メンバーの意見をとりまとめて形にしてくれました。自分たちで業務改善を考え、実現していくという貴重な経験ができたのではないでしょうか。

 

 

こうした経験がないと、業務に課題を感じていても愚痴をこぼすだけで終わってしまう かもしれません。「ちゃんと自分たちの意見が届くんだ」という意識を持てるようになることが、真の業務改善を実現するためには欠かせないのだと思います。

 

 

中堅・中小企業の個別課題にも徹底的に寄り添ってくれる存在

―今後、二次元ワークフロー・ソリューションの活用をさらに拡張していくアイデアがあればお聞かせください。

 

 

南:現状はPDF読み取りのフローを効果的に活用することに専念しており、拡張についてはこれからの課題です。まだまだ二次元ワークフローの機能を活用しきれていないので、メンバーを中心に、無限さんから他社事例などを学びながら検討していきたいですね。

―かつての御社のような課題をお持ちの企業に対して、ぜひアドバイスをお願いします。

 

 

南:会社によって抱えている問題は千差万別だと思いますが、多数の仕入れ先とのお付き合いがある場合は、当社の事例が参考になるかもしれません。

 

EDI(電子データ交換)のような仕組みを使い、仕入れ先すべてに共通書式でのやり取りを要望できれば話は早いのかもしれませんが、取引相手との力関係や取引状況によっては難しい部分もありますよね。また、単一の目的に特化したシステムを都度導入していくこと自体が厳しいという組織も多いのではないでしょうか。

 

だからこそ、無限さんのように個別課題に徹底的に向き合ってくれる存在は大きいと思います。開発者が寄り添い、悩みを解決する方法を柔軟に提案し続けてくれる姿勢には本当に助けられています。

 

パッケージシステムの導入では解決できない課題を抱える企業や、新規導入への障壁がある中堅・中小企業にも、無限さんはおすすめできるパートナーだと感じています。

 

 

 

 

株式会社アクタス

本社:東京都新宿区新宿2-19-1 BYGS新宿ビル 12

設立年月:19727

資本金:5000万円

売上高:1971600万円(202211月期実績)

従業員数:694名(役員を除く/202211月現在)

https://www.actus-interior.com/

株式会社無限やソリューションなどへの資料請求・お問い合わせは、お気軽にご連絡ください。

PAGETOP