コラム

2024.05.20AI-OCR

AI-OCRは使えないのか|失敗例やデメリットを知った上で最適なソリューションを選ぼう

AI-OCR技術はビジネスのペーパーレス化やデジタル変革(DX)を推進する強力なツールとして注目を集めています。しかし、「AI-OCRは使えない」という意見も少なくありません。この記事では、AI-OCRが持つ潜在的な課題を掘り下げ、失敗しないためのポイントを解説します。それらのポイントを理解することで、自社に最適なAI-OCRソリューションを選択できるようにしていきましょう。

 

 

 

 

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AI-OCRとは何か?

AI-OCRとは、AI(人工知能)技術を組み込んだ最新のOCR(光学文字認識)システムで、従来のOCR技術よりも、高度で柔軟なテキスト認識能力が特徴です。従来のOCRが画像データから文字を識別しデジタル化する機能を基本としているのに対し、AI-OCRはテキスト認識にAI技術を活用しています。

 

特に、マシンラーニング(機械学習)やディープラーニング(深層学習)といった技術が組み込まれており、文書の状態が悪い場合や複雑なフォーマットでも高い精度で文字を読み取ることが可能です。

 

AI技術を搭載した光学文字認識システム

AI-OCRは、マシンラーニングやディープラーニングといったAIの技術を利用しています。こうした技術の活用により、大量のテキストデータからテキストに関する重要な特徴を抽出し、学習を通じてさまざまな種類の文書やフォーマットに適応する能力を持っています。

 

例えば、手書きのノートや複雑なデザインが施された公式文書、さらにはレシートや名刺など、従来の技術では読み取りにくかった非定型のテキストも正確にデジタル情報にすることが可能です。AIの技術は、データの入力ミスを減らし、効率的な文書管理と迅速な情報処理を実現します。

 

OCRとAI-OCRの違い

OCRとAI-OCRの主な違いは、処理能力と応用範囲の広さにあります。以下の表は、両者の機能的な違いを比較したものです。

 

OCR技術は、特定の文字やパターンを認識するためのアルゴリズムを使用しており、主に静的なルールに基づくテキスト認識タスクに使用されます。これに対し、AI-OCRは学習過程で大量のデータからパターンを学習し、さまざまなフォーマットや状況でのテキスト認識を最適化できます。

 

また、テキストのコンテキスト理解や意味解析を行うことも可能であり、より複雑な応用が期待されています。こうした進化により、業務の自動化が進み、より高度なデータ処理と分析が可能になっています。

 

 

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AI-OCRの特徴【メリット】

AI-OCRは、従来のOCR技術とAIの組み合わせにより、文字認識の精度と柔軟性が大幅に向上していることが特徴です。主なメリットは、ディープラーニングを活用した高精度な文字識別、文書の自動認識機能、そしてRPAとの連携による作業プロセスの全自動化です。

 

ディープラーニングにより、判別の難しい手書き文字も識別可能

AI-OCRのメリットの1つは、ディープラーニングを用いて、従来のOCRでは認識が困難だった手書き文字や複雑なフォーマットのテキストも高い精度で識別できることです。

 

さまざまな文字スタイルや書式を持つ膨大なテキストデータを分析し、それらの特徴を学習することにより、個々の文字を正確に読み取る能力が搭載されています。手書きのメモ、非標準的な文書レイアウト、さらには書き損じやにじみがある文書でさえも、AI-OCRは高い識別率を発揮します。これにより、データ入力の作業負担が大幅に軽減され、文書処理の速度と正確性が向上します。

 

書類の読み取り位置や項目を自動認識してくれる

AI-OCRは、文書のどの部分を読み取るべきかを自動で認識する能力を持っています。この機能は、フォーマットの異なる請求書や納品書、契約書などのさまざまなタイプの文書にも対応可能です。

 

AIは文書のレイアウトを解析し、必要な情報がどこにあるかを理解し、自動的にその部分のデータを抽出します。これにより、人手による事前の設定や調整といった作業が不要となり、文書処理の自動化と効率化が達成されます。

 

RPAとの連携で、書類のスキャン・保管・共有まで全て自動化できる

AI-OCRとRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を組み合わせることで、書類関連の業務プロセスの完全自動化が可能です。AI-OCRが書類をデジタルデータに変換し、その後RPAがこれを取り扱い、データベースへの登録、ファイルの分類と保存、必要に応じた共有などを行います。

 

この連携により、人的介入を極限まで減らし、時間とコストの節約はもちろん、ヒューマンエラーのリスクも低減されます。ただし、AI-OCRの識字率は100%ではないため、重要な業務においては定期的な確認と検証が必要となります。

 

 


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AI-OCRが使えないといわれる理由【デメリット】

AI-OCRは多くの点でビジネスの効率化に貢献する先進技術ですが、その導入や運用にはいくつかのデメリットが存在します。これらの課題を理解することは、AI-OCRを導入する際の期待とリスクを適切に評価するために不可欠です。

 

識字率100%ではないためチェックや修正作業が必要

AI-OCRの大きな課題の1つは、その識字率が100%には達していないという点です。これは、技術がどれほど進歩しても、あらゆる手書き文字や非常に複雑なレイアウトを完全に認識することは困難であることを意味します。特に、異なる筆者による手書き文字や破損した文書、不鮮明な印刷では、認識ミスが発生しやすいです。

 

そのため、AI-OCRシステムを利用する場合、出力されたデータの精度を保証するために、人手による最終チェックや誤りの訂正作業が依然として必要とされます。

 

定型書類しか対応できない製品もある

AI-OCRの中には、特定の定型フォーマットにのみ対応する製品もあります。これは、AIが事前に訓練された特定のレイアウトやフォーマットにのみ適切に機能するためです。その結果、定型外のレイアウトやフォーマットの場合、これらのシステムでは対応できないことがあります。多様な文書タイプを扱う企業にとっては、この制限が業務の自動化の障壁となる可能性があります。

 

導入費用やランニングコストがかかる

AI-OCRシステムの導入には、ソフトウェアの購入費用や設定、運用開始までのトレーニングコストなど、初期投資が大きくなりがちです。

 

また、システムのメンテナンスやアップデート、技術サポートにも継続的な費用が発生します。これらのコストは、特に中小企業にとって大きな負担となることがあり、導入のハードルを高める要因となっています。

 

クラウド型のAI-OCRはセキュリティ面の懸念がある

クラウド型のAI-OCRサービスは、インターネットを介してデータを処理・保存するため、データの漏えいや不正アクセスのリスクが存在します。

 

企業の重要な情報が外部のサーバーに保存されるため、これに対するセキュリティ対策が不可欠です。データ保護の観点から、クラウドサービスのセキュリティ基準や対策を十分に検討する必要があります。

 

AI-OCRでの処理に慣れるまでに時間がかかる

AI-OCRシステムを効率よく運用するためには、従業員がシステムの使い方を習得し、適切に活用するスキルを身につける必要があります。

 

しかし、AI-OCR技術は高度であるため、これに慣れるまでには時間とトレーニングが必要です。従業員が新しいシステムに適応する過程で生産性が一時的に低下することも考慮しておきましょう。

 
 

 

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AI-OCR導入の失敗事例

AI-OCRの導入は業務効率化の鍵となり得ますが、適切な機能や設定がない場合、期待した成果を得ることができません。実際に多くの企業が直面した失敗事例を通じて、注意すべき点を学びましょう。

 

書類スキャン時の「位置ずれ調整機能」がなく読み込み精度が低かった

AI-OCRシステムの導入時、最も一般的な問題の1つが、位置ずれ調整機能の欠如による読み込み精度の低下です。FAXや印刷、スキャンする機械によっては、同じ帳票でも縮尺が異なったり、傾いていたりすることがあります。

 

特に、文書が少しでも傾いていたり、位置がずれていたりすると、本来認識したい領域を正確に認識できず、結果として認識精度が大幅に下がることがあります。位置ずれ補正機能が備わっていないAI-OCRを導入した結果、認識エラーが頻発し、結果的に業務の効率化どころか、追加の手作業が必要となり、作業負荷が増大してしまうケースが報告されています。

 

書類の「仕分け機能」がなくレイアウトの異なる書類の同時処理ができなかった

多くの企業で書類のデジタル化を進める中で、異なるレイアウトの書類を一括で処理する能力は非常に重要です。

 

しかし、AI-OCRが仕分け機能を持たない場合、異なるレイアウトやフォーマットを持つ書類を同時に処理することができません。例えば、請求書、納品書、注文書など、各種書類が1つのバッチで処理されることが想定されますが、仕分け機能がないとそれぞれの書類を個別に処理する必要があり、効率的な業務運営が阻害されます。

 

このため、多種多様な書類を扱う業務では、非定型帳票に強いAI-OCRの導入が推奨されます。

 

費用対効果をあまり感じられなかった

AI-OCR技術の導入は、初期投資とランニングコストが伴います。一部の企業では、高額な導入費用にもかかわらず、期待したほどの業務改善効果が得られなかったという事例が報告されています。

 

特に、認識率が向上すると期待されていたものの、実際には人の手による多大な修正作業が必要であり、結果としてコスト削減や業務効率化に寄与しなかったケースがあります。

 

導入前には、具体的な業務フローの見直しや、実際の業務における改善点を綿密に分析し、費用対効果を慎重に評価することが必要です。

 

 


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AI-OCRソリューションを選ぶ際のポイント

AI-OCRソリューションを選ぶ際には、機能、費用、サポートの3つの側面を重視することが非常に重要です。これらの要素を総合的に考慮すれば、最も適切なAI-OCRソリューションを見つけることができるでしょう。

 

機能面

AI-OCRソリューションを選択する際の最も重要な要素の1つが機能面です。

 

OCR技術とAIの組み合わせには、どのような特徴があり、どの程度の文字認識精度があるのかを理解することが大切です。高度な文字認識能力、多言語サポート、非定型文書の読み取り能力、複雑なレイアウトや手書き文字の識別能力など、求めるニーズに合った機能が備わっているかを確認しましょう。

 

また、自動フォーマット認識、データの抽出と整理、さらにはRPAとの連携機能も重要なポイントです。

 

費用面

次に、AI-OCRソリューションの費用面を考慮することが重要です。

 

導入初期コストだけでなく、運用コストも総合的に評価する必要があります。場合によっては初期設定やカスタマイズに費用がかかることがあります。その点も事前に明確にしておきましょう。

 

また、サービス提供者によっては、使用する文書の量に応じた料金設定を行っていることがあります。長期的な運用を考えた場合のコスト効率も見積もり、総所有コスト(TCO)を理解することが賢明です。

 

サポート面

最後に、サポート面も選定の大きな要因となります。

 

技術的な問題や操作方法に関する疑問が生じた場合に迅速かつ的確なサポートを提供してくれるかどうかが、日常的な業務の効率に直結します。導入後のトレーニング、定期的なアップデート、技術サポートの質と対応速度、ユーザーコミュニティやリソースの充実度など、充実したサポート体制が整っているかを確認しましょう。

 

また、ユーザーのフィードバックを元に製品改善を積極的に行っているかどうかも、長期的なパートナーシップを考える上で重要です。

 

 


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自社に合ったAI-OCRを導入するための手順

導入するAI-OCRが企業の実際のニーズに合致するためには、適切な選定が不可欠です。自社に最適なAI-OCRソリューションを見つけるための具体的なステップを以下に紹介します。

 

①AI-OCRの種類を理解し、自社に合ったタイプを検討する

AI-OCR技術は多岐にわたる製品が市場に出回っており、それぞれが異なる機能性を持っています。基本的には、定型フォーマットに特化したものや、非定型フォーマットに対応するもの、さらには深い学習機能を持って自動でフォーマットを学習するタイプなどがあります。

 

まずはこれらの違いを理解し、自社の業務に最も適したAI-OCRのタイプを特定することが重要です。例えば、定型的な書類を大量に処理する場合は、定型フォーマットに特化したAI-OCRが向いています。一方で、多様な書類を扱う場合は、非定型フォーマットに対応したAI-OCRが必要になるでしょう。

 

②自社で実際に使っている書類で読み取り精度を試してみる

AI-OCRの導入を検討する際は、実際の書類を用いて読み取り精度のテストを行うことが極めて重要です。多くのAI-OCRサービス提供者は無料トライアルを提供しているため、これを活用して自社の書類でどれだけ正確にデータが読み取れるかを確認しましょう。

 

このテストを通じて、文字認識の精度だけでなく、特定のフォーマットや手書きテキストの読み取り能力も評価します。この段階で、誤認識の頻度や必要となる後処理の手間を把握できます。

 

③既存システムとの連携で業務フローを効率化できないか検討する

AI-OCRを導入する目的の1つは、業務フローの効率化です。

 

そのためには、AI-OCRが既存のITシステムや業務プロセスとどのように連携するかを検討することが不可欠です。例えば、ERPやCRMといったシステムとのデータ連携がスムーズに行えるかどうかを確認しましょう。

 

また、RPAと組み合わせれば、入力データの自動化をさらに推進することも可能です。このステップでは、技術的な連携の可能性だけでなく、導入後の業務フローの変更がどの程度効果的かも評価します。

 

 

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AI-OCRソリューションは、企業のDXを推進するために欠かせないツールです。市場にはさまざまなAI-OCRツールがありますが、株式会社無限が提供するAI入力ソリューションは、入力業務全体を高精度かつリーズナブルに効率化するツールとして人気があります。

 

業務削減実績75%達成、人材不足対応やミスの低減、ペーパーレス化などを実現できる使いやすいツールです。非効率な紙帳票やPDFからのデータ化作業を革新し、DX推進を強力にサポートしてくれるので、企業内のさまざまな業務の効率化を大きく進められるでしょう。
 


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まとめ

「AI-OCRは使えない」と感じるケースは、多くの場合、誤った期待や不適切な導入計画によるものです。成功するためには、AI-OCRの機能や限界を正確に理解し、実際の業務にどのように適合させるかを考えることが必要です。

 

本記事で取り上げた失敗例やデメリットを踏まえた上で、適切な製品選定や導入準備を行うことで、AI-OCRの真の価値を引き出し、業務効率化を実現することが可能です。最適なAI-OCRソリューションの選択は、情報収集と正確なニーズ分析から始まることをきちんと認識しておきましょう。

 

 


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