コラム

2022.08.01RPAとAI

RPAとAIの違いとは?組み合わせ導入事例と効果を紹介【図解付き】

「RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション) 」と「AI(Artificial Intelligence:アーティフィシャル・インテリジェンス)」。前者はパソコン内の単純作業を中心に自動化するためのロボットソフトウェアであり、後者はいわゆる人工知能のことです。

 

これら2つのワードは「ロボット」という言葉で関連をイメージさせるのではないでしょうか。たとえば、RPA→ロボット→AIというかたちで連想させ、同じなのか違うのか、対立するものなのか補完するものなのかといった観点で疑問が湧いたりしないでしょうか。

 

ロボットというのは物理的な形があり、それを動かす脳の部分がAIだとすると、ソフトウェアロボットであるRPAはどっちなの?という疑問です。

 

両方の言葉が一般的に浸透しつつあるいま、今回はRPAとAIの違いについてご紹介します。

 

 

 

 

 

 

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは

 

「ロボットを用いてプロセスを自動化する」、RPAを直訳すればこんな意味があります。ただし、ロボットといってもソフトバンクが提供する「Pepper」のような人工知能型ロボットではなく、あくまでソフトウェアロボットを指していて、Pepperのような物理的な筐体は持ちません。

 

ソフトウェアによって、いままで手動で行っていた単純作業を自動化します。

 

 

RPAの特徴: 定型業務を自動化する

RPAの最も代表的な特徴は「事前に指示されたとおりに動作する」ということです。つまり、自らが判断することはなく、判断が必要な部分、たとえばフィールドの値が1,000以上であればAという処理をし、1,000未満であればBという処理をするということもあらかじめ完全に支持しておかなければ期待した動作はしません。

 

後述するAIとの対比で行くと、あいまいな指示は許容されないという点がポイントです。

 

たとえば、日次や週次、あるいは月次などで定期的に発生する業務はないでしょうか?たとえば人事部なら社員の給与計算、経理部なら請求書発行などが該当するでしょう。こうした事務処理の業務は機械的な作業が多く、同時に正確さも強く求められます。RPAが自動化する業務にはこうした単純作業が向いています。

 

RPAはソフトウェアなので、あくまでPC上で人に代わって操作を代行します。これまでのソフトウェアの自動化ツールはマクロでの作りこみのようにそのアプリケーションの中で動作するか、統合するシステムを開発するかという選択が主流でした。

 

システム開発では工数や費用が莫大になり、日常的なちょっとした業務は結局手作業に頼っているケースが多いのではないでしょうか。

 

たとえば、Excelで集計した結果をWebの業務アプリケーションに入力し、そこで発行されたIDをまた別の報告書に転記するというようなプロセスでは、マクロではWebアプリケーションに対応できず、またシステムを作ろうとするとWebアプリケーションのAPIが必要になるなど、大掛かりになってしまいました。

 

RPAではそのような苦労なしに複数のアプリケーションにまたがる業務を一連の動作として自動化することができます。

 

RPAで業務を自動化するには?

RPAが業務を自動化するためには、まず人がRPAに細かく指示を与える必要があります。この指示は、いわゆるプログラム言語を使用するのではなく、わかりやすいUIで処理を設定してゆけるものがよいでしょう。

 

たとえば株式会社無限が提供する「A I入力ソリューション」の場合、アライズイノベーション社が提供するAIReadを中心に、帳票の自動仕分けからO C Rによる自動読み込みとデータ成型、会計システムなど関連するシステムへのデータ連携まで含めて業務全体の自動化・効率化を実現します。

 

 


 

 

 

 

AI(人工知能)とは

 

AIとはいわゆる「人工知能」です。コンピュータが自ら思考して判断し、実行します。ロボットとの関係でいうと、人工知能はなにをするかを考える脳の部分であり、ロボットは実際の動作を行う体の部分です。

 

ソフトバンクが提供する「Pepper」などは、有名な人型ロボットで、AIによって動作が制御されています。このようにAIを組み込んだロボットも実用化されてきていますが、多くの場合はデータ分析といった分野で活躍しています。

 

 

AIの特徴: 主体的に判断する

人間の知覚や知性といったものを、技術やソフトウェアによって、人工的に再現するのがAIです。指示通りに動くRPAとは違って、AIには主体的に物事を判断する特徴があります。

 

特にAIのテクノロジー分野では、以下のような分類がなされます。

・レベル1:制御プログラム

・レベル2:対応パターンの多い制御

・レベル3:対応パターンを自動学習

・レベル4:対応パターンと判断基準を自動学習

 

 

レベル1:制御プログラム

気温や湿度などの変化によって作動状況を制御するエアコンなどが該当します。あらかじめプログラムされた状況変化の変数に従って動作をコントロールするので、指示通りの動作をするレベルです。

 

 

レベル2:対応パターンの多い制御

掃除機ロボットや質問への回答など、非常に多くのパターンを識別し対応するタイプのAIです。対応パターンは多いですが、このレベルにおいても自ら学習することはありません。

 

 

レベル3:対応パターンを自動学習

ビッグデータの分析や検索エンジン等で利用され、大量のデータからパターンを学習し、判断します。このレベルでは、大量のサンプルデータにより自ら学習を行いより高い精度の判断を行いますが、パターンの判断基準はあらかじめ指定しておきます。

 

 

レベル4:対応パターンと判断基準を自動学習

対応パターンに加え、判断基準も自ら学習する高度な分析を行いレベルです。人が想定していないパターンの導出も期待されます。

 

これらの学習技術についても「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つがあります。それぞれの特性に合わせて利用されています。

 

 

 

RPAとAIの違いを図解つきで説明

 

RPAとAIの違い

 

このように、RPAとAIは異なるものであることがお分かりいただけたと思います。

 

RPAはあくまで決められたルールに沿って処理を実行するという意味では、AIというよりは通常のプログラムに近い位置づけです。これまでにない点は、ユーザー操作の位置づけで複数のアプリケーションにまたがる処理を自動化できることで、その振る舞いからソフトウェア「ロボット」と呼ばれています。

 

一方でAIは、いくつかのレベルには分かれるものの、多くのデータからパターン分析を行い、それをもとに分類や処理を自律的に判断します。

 

今後はこれらを組み合わせ、RPAで行う処理内容のパターンをAIで分析し、適切な処理パターンをRPAに指示して実行するということも始められています。

 

RPAとAIは排他的な関係ではなく、現在プログラムに従って処理するRPAをAIで制御するという方向性に進んでゆくと考えられます。

 

RPAの製品選定においても、このような観点を考慮するとよいでしょう。

 

 

 

RPAとAIの連携メリット

 

RPAとAIを組み合わせた技術が実用化されることで、高度な自動化処理が可能になり、人々の働き方が劇的に変わると考えられています。現時点では、人間にしかできない仕事であっても、将来的には、RPAとAIの連携で対応できるようになるでしょう。RPAは、AIとの連携の度合いによって大きく「RPA、EPA、CA」という3つのクラスに分類されます。

 

 

レベル1:RPA(Robotic Process Automation)

レベル1のRPAは、AIと連携しない従来型のRPAです。Webサイトからの情報取得、決められたメールの送信、データの照合作業、伝票の入力作業などこれまで人間が手作業で行っていたような定型業務の自動化に対応します。

 

 

レベル2:EPA(Enhanced Process Automation)

レベル2のEPAでは、RPAをAIと連携してパワーアップすることによって、画像や音声などの非構造化データや知識ベースを活用できるようになり、非定型業務の一部が自動化されます。

 

 

レベル3:CA(Cognitive Automation)

レベル3のCAは、RPAと高度なAIがタッグを組むことにより、判断が不可欠な業務プロセスの大部分を自動化する、未来のRPAです。CAが実用化されれば、例えば、これまで人間が行ってきた商品の在庫管理や発注作業の自動化が実現できると考えられています。

 

 


 

AIとRPAが注目される背景

 

AIとRPAが注目される背景には、世界中で進むあらゆる産業のDX化と人手不足があります。つまり、DX化が進むことで、システム間で一元的にデータをやり取りするような定型業務を自動化する、RPAのニーズが高まっているのです。

 

また、日本は少子高齢化による労働人口の減少で、今後ますます人手不足が深刻化すると予想されています。そのため、これまで人間が行っていた事務作業を、AIと連携するRPAに任せることで、生産性を上げようとする動きが出てきました。

 

働き方改革と国際競争力の強化という観点から、総務省をはじめ国をあげてRPAの活用を推進しています。以下もぜひ参考にしてください。

 

「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

 

 

 

RPAとAIを組み合わせた導入事例

 

RPAとAIを組み合わせて生産性を上げるといっても、具体例がなければイメージがつかめないかもしれません。実際の導入事例を、以下に2つ紹介します。今後導入する上での参考にしてください。

 

事務作業効率を7割向上!

日本紙パルプ商事株式会社では、AI-OCRとRPAツールを導入し、2つのツールを融合させて、受注、仕入、請求などの事務処理業務を自動化しました。AI-OCRとは、紙に書かれた文字をスキャナ等で読み取り、AIを用いて文字認識の精度を高めて、ほぼ間違いなくデジタルの文字へと変換する技術です。

 

また、同社では、テレワークの導入によって、これまで紙で提出されていた報告書がデジタル化されましたが、この報告書の作成作業の自動化でもRPAツールが活躍しています。

 

さらに、棚卸し作業の際には、商品番号の入力で、システム上の在庫数検索から再確認表の印刷までを自動で行えるようにしたところ、在庫数確認の待ち時間が短縮されて、作業の負担が軽減されました。

 

ツールを活用して20を超える業務の自動化が実現し、その結果、事務作業効率を7割向上させることに成功したのです。この事務処理業務の自動化は、全社的な生産性向上の取り組み基盤になっています。

 

 

年間1400時間の業務量削減

ある自治体では、RPAとAI-OCRを組み合わせて、区民税の申告や児童育成手当といったデータ入力などに活用し、さまざまな部署の書類処理を自動化して、その効果の検証を行いました。

 

なお、自動化は、職員がスキャンした書類をAI-OCRが認識して読み取り、その結果をRPAがデータとして取り込んで、システムに登録するという流れで行います。

 

ただし、職員は、書類がシステムに登録されるまでに設けられた確認ポイントで、確認・修正作業を行う必要があります。

 

検証の結果、業務量が多く、業務の難易度が低い6つの業務で、年間合計約1,400時間の削減が見込めることがわかりました。

 

 

 

まずは単純作業の自動化から実現を

 

現在多くの企業や組織において直面している課題の一つは、より徹底した業務の効率化です。特に定型的な業務効率化はよりIT活用の余地があり、かつ長時間労働の抑制や人材確保の難しさなどの背景により、優先度の高い課題となっています。

 

定型業務ではすでに業務フローは確立しているものの、使用するアプリケーションが複数にまたがっていることなどにより自動化が阻害しているケースが多くみられます。その代表的な例が手書きなど紙ベースの帳票類の管理です。

 

システムの個別最適が進むと、どうしても結果を帳票で出力して担当者が確認する手順が組まれており、申し込みや登録など対面で処理される業務がどうしても紙ベースの帳票であり、業務システムは完備されていても、データのスタート時点がアナログになっていることが多く存在します。

 

手書きデータをFAXや複合機で取り込んだ段階から、業務処理が自動化できたらいかがでしょうか?

 

多くのRPA製品やAIツールが存在する中、当社がご提供する「AI入力ソリューション」では、PoCを通じお客様の業務のボトルネックを洗い出し、現状評価から必要なチューニング、効果の測定を経て、お客様の最適な業務プロセス構築をご支援します。

 

是非、入力業務でお悩みの方は、当社「AI入力ソリューション」をご検討ください。

 

 


 

 

 

まとめ

 

RPAはパソコンでの作業を自動化するロボットソフトウェアで、あらかじめ決められた指示通りにしか動作しません。一方AIは人工知能であり、主体的に判断を行うことができます。このRPAとAIを組み合わせることにより、将来的には、ほとんどの作業を自動化できるようになるでしょう。

 

なお、現時点で提供されているサービスでも、低コストで業務効率を上げられるものがあります。例えば、当社が提供している「AI入力ソリューション完全クラウドサービス」は、簡単操作で必要な時に月単位の契約ができ、手軽に導入できるのでおすすめです。
 


 

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